この問題で東大が聞きたいことは、たった一つ。「ここに住んでいる人の気持ちになれるか?」です。この山間部に住んでいたとして、合併すると生活する上でどんな困難があるか。どういうところが大変になるか。そういう「人の気持ちになれるかどうか」が、この問題の焦点になっています。
さて、この問題の答えを考える前に、逆のことを考えてみましょう。今回は「合併して発生しうる問題について」が問われていますが、逆に合併するメリットとは何なのでしょうか。
問題文を読むと「行財政の効率化などを目的として」と書かれています。つまりは、市役所や議会、公共施設などが一つになるということですね。
そうなれば、役所であれば多くの人を雇う必要はなくなりますし、病院であればオンボロな病院がたくさんあるよりも、一つ大きくて綺麗な病院がある方が助かる人は多いでしょう。財政的にも行政的にも、その方が効率がいいんだろうな、ということはわかると思います。
実際に市町村合併を経験した人に話を聞くと、「公共サービスを受ける幅が広がる」というのもメリットの一つだと語っていました。今まで使えなかった隣町のグラウンドや体育館が使えるようになったり、隣町の図書館で借りられる本の幅が増えたりすることもあるそうです。
しかし逆に、「統廃合になってしまう」「今まで使えていた施設・サービスが今まで通りには使えなくなる」というのは、やはり生活上大変な点だそうです。今まで人があまり乗っていなくても運転していたバスが、合併を契機に統合されて廃止されたり、村の中学校が廃校になったり、それに伴ってその中学に通っていた子供がいた家族が引っ越したり……。
「昔は顔見知りの人が市役所で働いていたので楽だったが、合併して全然知らない人が働くようになったから手続きが大変になってしまった」という人も多いようです。
「生活上の問題」を考える
それはこの問題にもそのまま当てはまります。
この問題では「山間部」で発生する問題なので、「今までバスが山を登ったところにあるバス停まで来ていたけど、合併で利用者も少ないのでなくなった」とか、「車を運転できないおじいさんおばあさんが、山の下にある役場までわざわざ行かなきゃならなくなった」とか、そういうことってありそうですよね。

