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【ハンタウイルス】アンデス型でも今は「コロナ級パンデミック」になり得ない理由 正しく恐れるために知るべきこと

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ハンタウイルス
ハンタウイルスの色調強調透過型電子顕微鏡写真(画像:ALFRED PASIEKA/SCIENCE PHOTO LIBRARY/Getty Images)
  • 上 昌広 医療ガバナンス研究所理事長
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この流行については、アルゼンチンとアメリカの共同研究チームが感染経路を解析し、その結果を2020年12月2日付の『ニューイングランド医学誌』に発表している。研究では、感染者が大人数の集会に参加していたことや、他人と密接に接触していたことが感染拡大と関連していたと結論づけている。

ちなみに、アンデスウイルスを媒介するオリーブネズミなどのげっ歯類は日本に定着しておらず、国内で大規模流行が起こる可能性は低いと考えられている。

流行への関心を高めた「報道」

前述したアルゼンチンでの流行を記憶している読者は、ほとんどいないだろう。一方、今回の感染は世界中のメディアで大きく報じられた。

何が違うのか。筆者は、クルーズ船という特殊な環境が大きいと考えている。乗客が世界各国から集まるため、各国メディアが自国民への影響という視点から注目するからだ。

この船には日本人乗客1人が確認されている。スペイン領カナリア諸島で下船後、イギリス政府がチャーターした船でイギリス国内に移動し、最大45日間の健康観察を受けている。現時点で感染は確認されていない。この動きは、日本のメディアでも広く報じられた。

自国民の健康状態に関心を抱くのは日本だけではない。5月18日時点で、今回の流行ではオランダ人夫妻とドイツ人乗客の3人の死亡が確認されている。オランダでは夫婦の死亡を主要メディアが連日報道し、ドイツでも死亡した乗客や帰国者の追跡報道が続いた。

アメリカも同様である。少なくとも18人のアメリカ人が乗船しており、政府が手配したチャーター機で帰国後、多くがネブラスカ大学メディカルセンターの隔離施設で経過観察を受けている。うち1人は当初、ハンタウイルス陽性疑いと報じられたが、その後、「判定不確定」に修正された。この一連の経緯も、多くのアメリカメディアが詳細に報じている。

このようなメディア報道が、今回のハンタウイルス流行への関心を高めた最大の理由だろう。新型コロナ流行初期、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」での集団感染をきっかけに、世界中の注目が集まった状況とよく似ている。

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【ウイルスへの警戒は今後も必要】

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