Xperia 1 VIIIが背負うもう一つの課題が、前モデルからの信頼回復だ。2025年7月、ソニーは前モデルのXperia 1 VIIで再起動の繰り返しなどの不具合を公表し、販売を一時停止した。販売再開は8月27日まで2か月近く遅れた。
販売停止の最中だった8月7日の決算説明会で、ソニーグループ最高財務責任者(CFO)の陶琳(タオ・リン)氏は「Xperiaは非常に大切なビジネス、大事に育てていく」と表明した。通信技術がソニー全体の技術基盤であり、スマートフォン以外の領域でも活用されていると説明し、撤退の選択肢を否定した。
不具合事件で離れかけたコアファンを呼び戻すという課題は、Xperia 1 VIIIにそのまま引き継がれる形となった。新機種が買い替えを促す説得力を持てるかどうかが、ソニーのスマートフォン事業の今後を左右する。
Xperia 1 VIIIは誰のためのスマホか
AIカメラアシスタントを搭載しても、30万円のスマホが初心者向けに変わるわけではない。20万円台後半から30万円前後という価格帯は、これまでXperiaを選び続けてきたコアファンが買う領域だ。AIアシスタントが本当に果たすのは、そのコアファンが新しい人を呼び込む後押しだ。
ソニーが大事に育てているのは、写真と音にこだわる人が残り続ける場所としてのXperiaだ。望遠カメラの暗所性能、ウォークマン譲りのイヤホンジャック、上下同一のスピーカー。他社が省略する装備を残しながら、新しい人を少しずつ呼び込む工夫としてAIを加えた。Xperia 1 VIIIは、コアファン向け高単価路線にAIで勧めやすさを加えた機種と見るのが、実態に近いだろう。
