新作でソニーがアピールの中心に据えたのが、AIカメラアシスタントだ。被写体やシーンを認識し、ソニーのデジタル一眼カメラ「α」シリーズで培ったクリエイティブルックを元に、色合いやレンズ、ぼけ表現を組み合わせた撮影スタイルを4つ提案する。料理に向ければ彩度を上げて美味しそうに見せる提案、風景には自然な色合いを強める提案、花にはぼけを強調した提案が並ぶ。タップで適用、スワイプで切り替えられる。
従来のXperia 1シリーズは、デジタル一眼αの操作感をスマートフォンに持ち込む製品だった。撮影に詳しい層を主なターゲットとし、α購入につながる入り口の役割を担ってきた。Xperia 1 VIIIはその方向を残しつつ、撮影設定をAIに任せる機能を前面に出した。詳しい人に使わせるスマホから、詳しくない人にも撮らせるスマホへ、対象を広げる狙いがある。
ソニーのイメージングコミュニケーション事業部門 事業部門長の大澤斉氏は、近年の状況の変化を「1億総クリエイター状態になってきている」と語った。プロ向けにはプロモードを引き続き用意するが、「より少ない準備で撮りたい」ユーザーが増えていることへの対応が、新機能の狙いだという。
AIアシスタントは新規ユーザーを直接取り込むだけの機能ではなく、Xperiaを使い続けるコアファンが、家族や友人に勧めるときの説明材料にもなりそうだ。「最近はAIが提案してくれるよ」と返せれば、難しさを盾にした断りを減らせる。
AIで間口を広げても、価格はさらに高くなった
一方で、新モデルは前作から一段の値上げとなった。Xperia 1 VIIのSIMフリー最廉価モデル(12GB/256GB)が20万4600円だったのに対し、Xperia 1 VIIIの同等構成は23万6000円前後だ。最上位の16GB/1TBモデルは30万円前後で、約3万円の上乗せだ。
大澤氏は値上げの理由を、メモリの需要急増や人件費の高騰、物流費の上昇など複数の要素が重なったと説明した。そのうえで「価格は上がった下がったではなく、価値に対しての価格付けだ」とも述べた。望遠カメラの大型化、AIカメラアシスタント、上下同一のスピーカーといった進化が値上げ分の対価という主張だ。
その「価値」を実感できるのは誰か。AIで撮影の間口を広げるとうたうが、20万円台後半から30万円前後のスマートフォンは、撮影初心者が手を出す価格帯ではない。値上げ分の価値を理解できるのは、これまでもXperiaを選んできたコアユーザーが中心だろう。
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【前モデル不具合と「大事に育てる」方針表明】
