病院側によると、チロルが亡くなった日は北九州市が雪に見舞われたため、歯石除去に立ち会っていた看護師を帰宅させていた。
その後は、獣医師が一人で、麻酔をかけたチロルを処置していたという。
さらに、モニターの警報アラームもオフになっていた。
福岡地裁小倉支部(今泉愛裁判長)は2025年2月、獣医師が単独で処置にあたっていたことや、アラームをオフにしていたこと、処置内容や監視体制について事前の説明を怠ったことを認定し、チロルの死亡との因果関係を認めた上で、病院側に対して女性へ約53万円を支払うよう命じた。
チロルが残したもの
仕事を続けながら、睡眠時間を削って裁判資料と向き合う日々は3年に及んだ。
なぜ、そこまでして闘い続けたのか。
女性は静かに語る。
「やっぱり、私と同じような思いをする飼い主やワンちゃんが、これ以上現れてほしくないという思いが強かったです」
チロルが亡くなるまでは、裁判所に足を運んだことすらなかった。
それでも今回の経験を通じ、「司法を身近に感じた」と話す。
「4年間、悪いことばかりじゃなかった。裁判官は私の話を親身になってうなずいて聞いてくれました。裁判所には丁寧に審理していただいて、本当に感謝しています」
そして最後に、こう語った。
「チロルが亡くなったことで、私自身も看護師として、患者さんや家族により寄り添えるようになったというか、医療に対して、より慎重に、安全に向き合えている感じがします。これもあの子が残してくれたものなのかなと思っています。こうした経験が少しでも伝わって、安全な医療体制につながってほしいです」
*この記事は読者からの情報提供をもとに取材・作成しました
