学び直しを素直に評価できない空気は、挑戦する人間より、揚げ足を取る側を利する。残念ながら、その現象がいまだに色濃く残っているのが日本の現実である。
一方で、学部と大学院の格差を気にするのは、学部の偏差値が低い場合に限った話ではない。
上位私大を卒業した後、会計資格を取り、さらに慶応義塾大学大学院博士後期課程まで進んだある女性会計士に会ったとき、彼女はこう言った。
「(私が卒業した)〇〇大学では学歴になりませんから」
最終学歴を変えるのも、それをどのように披露するかも、その人の自由だ。ただ、周りにいた同じ「学歴にならない大学」出身の人たちは明らかに引いていた。
慶応出身会長が提示した「神回答」
このような配慮を欠いた発言は、愛校心が強い人が多い伝統校の場合、OB・OGの反発を買うことがある。こうした反発を避けた事例を1つ紹介しておこう。
ある大企業の新社長が会長に相談した。「私は早稲田大学を卒業し、その後東京大学大学院に進んだのですが、学歴欄にはどちらを書いておけばいいでしょうか」。
すると、財界でも活躍し、人の心の機微を読む力に長けたこの会長は、笑いながら答えた。「両方書いておきなさい。どちらも、お客さんになってくれますよ」。
この会長は慶応大学出身だった。日本最強の結束力を誇る慶応の同窓会組織・三田会の効用を熟知していたからこそ、自然とこのような発言ができたのだろう。
(中編に続く)
