「マネーロンダリング(資金洗浄)」という言葉は今や広く知られている。犯罪で得た金を、出どころがわからないように処理して、摘発を逃れる行為だ。
これをもじって学歴に当てはめたのが「学歴ロンダリング」である。卒業した学部よりランクが上とされるブランド大学院へ進み、学歴を塗り替えようとする行動を皮肉った言葉だ。
他人の成功を素直に喜べない気持ち、いわゆる「シャーデンフロイデ」は人間に普遍的な感情だ。「人の不幸は蜜の味」ということわざが昔からあるように、他人の躍進を見て不快になる気持ちは誰にでもある。
大学院合格をSNSに投稿したとき、名刺に新しい肩書を刷ったとき、プロフィールから学部時代の大学名を消したとき、全員が前向きに受け取ってくれるわけではない。むしろ否定的に見る人が意外に多い。学び直しの事実を公にする際は、その点を念頭に置いておきたい。
「MBA」と記した名刺を渡すと…
文部科学省「学校基本調査報告書」によれば、大学院生全体に占める社会人の割合は、2000年度の12.1%から22年度には23.4%へと約20年で約2倍に増加した。それでも世間の目は厳しい。「なぜ今さら学問なのか」と問う前に、「箔を付けたいだけだ」という決めつけが先に来る。
学び直しの事実を人に伝えるとき、その見せ方で受け取る側の印象は変わる。
あるビジネスパーソンの会合で、国立大学でMBAを取得した女性が「〇〇大学MBA」と記した勤務先の名刺を渡したところ、受け取った相手の反応は分かれた。素直に評価する人もいれば、その肩書を過剰に受け取る人もいた。本人はただ事実を書いたつもりでも、受け手の感じ方はさまざまだった。
その名刺を受け取るや、まじまじと見つめる人がいた。そして、にこりともせず一言だけ口にした。
「おー、MBAですか。すごいですね」
どう見ても、この女性の努力を賞賛しているようには見えなかった。
次ページが続きます:
【別のエピソードも…】
