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売り場から色が消失…カルビー《白黒ポテチ》が受け入れられない、「気のせい」でも「ただの感情論」でもない"本当の理由"

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ポテトチップス
カルビーのポテトチップスといえば、黄色やオレンジのパッケージが思い浮かびますが…(画像:カルビー公式サイトより)
  • 宮本 文幸 「見た目」戦略研究家/桜美林大学ビジネスマネジメント学群教授
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カルビーのポテトチップスも同じだ。うすしお味はオレンジ、コンソメパンチはベージュ、のりしおは黄色という暖色系のパッケージカラー。

50年近くにわたって消費者の記憶に刻み込まれてきた、「ポテチといえばカルビー」というブランドイメージだ。それを白黒に変えることは、ブランドの顔を変えることにほかならない。

「白黒ポテチ」より売れるパッケージは?

では、カルビーはどうすればよかったのか。

私が提案したいのは「戦略的チラ見せ」だ。

パッケージを白黒にするくらいなら、いっそ真っ黒のパッケージに、一部だけ透明の窓を設けてポテチを「チラ見せ」するほうがはるかに効果的ではないか。

黒地に映える黄金色のポテチ……その対比は視覚的に美しく、高級感さえ演出できる。そして何より、商品の「素顔」が見えることで、前述した「シズル感」が直接消費者の食欲を刺激する。

「チラ見せ」は、ボトルが透けて見える化粧品のデザインがイラストで覆ったデザインに勝った原理と同じだ。色を失うことが避けられないなら、色の代わりに「素顔」を見せる。これが見た目戦略の発想だ。

パッケージの色は、単なるデザインのコストではない。それは消費者の脳に「おいしそう」「信頼できる」「このブランドだ」というシグナルを送り続けるための、最も安価で最も強力なマーケティングツールなのだ。

今回のカルビーの決断は、やむを得ない事情によるものだろう。しかし、この機会を「パッケージの見た目戦略を根本から見直すきっかけ」にできれば、むしろピンチをチャンスに変えることができるかもしれない。

【参考文献】
※1:DuBose, C.N., A.V. Cardello & O. Maller (1980) Effects of colorants and flavorants on identification, perceived flavor intensity, and hedonic quality of fruit-flavored beverages and cake. Journal of Food Science, 45, 1393–1399.
※2:Spence, C. & C.A. Levitan (2021) Explaining crossmodal correspondences between colours and tastes. i-Perception, 12. / Spence, C., C.A. Levitan, M.U. Shankar & M. Zampini (2010) Does food color influence taste and flavor perception in humans? Chemosensory Perception, 3, 68–84.
※3:Lakoff, G. & M. Johnson (1980) Metaphors We Live By, University of Chicago Press.

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