最近のロシア政府系の全ロシア世論調査センターの調査では、プーチンを「信任する」人は7週連続で低下を続け、4月24日発表では71%と侵攻開始後の最低を更新した。
支持率低下は、この世論調査だけでなく、クレムリンが実施した独自調査でも確認されていると言われている。全体的な傾向であることに間違いないだろう。
プーチンの支持率低下というクレムリンにとって都合の悪い、この情報を、ロシア政府があえて公表したことを巡っては意図をいぶかる声も出ている。筆者は、国民が次第に政権に冷めた視線を向け始めたことをプーチンに知らせるべく、クレムリンの文官テクノクラートが仕掛けた作戦ではないかと見ている。
暗殺を恐れ始めたプーチンは公邸地下室にこもる
こうした戦況悪化と支持率低下を背景に、プーチンは内外からの自らへの暗殺の動きを恐れ始めているという。ウクライナのドローン攻撃による殺害作戦を警戒し、普段はモスクワ郊外などにある公邸ではなく、南部黒海沿岸にある「プーチン宮殿」と呼ばれる巨大な公邸の地下室にこもっているといわれる。
また、侵攻開始後、度々部隊司令部などを訪問してきたプーチンが今年に入って一度も軍施設訪問をしていないことも異変である。暗殺への強い警戒心の表れだろう。
当然ながら、プーチンに対する警護は大幅に強化されている。大統領の警護を担当するロシア連邦警護局(FSO)による警備は一層厳格化。プーチンとの面会は大きく制限され、面会者は今やスマホはもちろん、腕時計をはめることも許されないという。
一方で、ウクライナは、ロシアの軍事経済両面での継戦能力と侵攻継続への意欲を奪うことで、自らに優位な条件での戦争終結を目指している。侵攻作戦の難航を受け、ロシア軍内部で作戦継続に反対し、戦争終結を望む勢力が生まれていることをウクライナの情報機関は把握している。つまり侵攻継続を巡りロシア軍内部にひび割れが入ったことを覚知したのだ。
これを受け、ウクライナ側はある作戦を展開した。5月4日、ゼレンスキーは6日からの停戦を提案したが、この裏には狙いがあった。ロシア軍内の終戦派を勢いづかせ、戦争継続路線を崩さないプーチンを孤立させる、あるいは終戦受け入れに導くという狙いがあった。
結果的にプーチンはその後も侵攻継続の構えを崩していないが、プーチンの意図とは裏腹に、戦争景気で成長を続けてきた経済もここへ来て息切れの気配を見せている。ロシアの国内総生産(GDP)は26年第1四半期に前年同期比0.3%減を記録した。23年以来のマイナス成長だ。
ロシア経済は、戦争の負担に次第に耐えられなくなっている兆候を見せ始めた。プーチンにとって今後、戦争を勝利で終えることはもちろん、継続することも次第に困難になるだろう。
