そこで、CPM(Children per Mother)という指標を活用します。これは子どもを産んだ母親に限った平均出生数です。1990年以降でそれを計算すると、以下のようになります。

1990年から2002年にかけて、CPMは急降下しており、2.00人まで下がりました。この時期は、夫婦の子ども数が減っていたことを示します。しかし、その後はなだらかながら一貫して増え続けており、2024年では2.10人と、むしろ1990年代後半と同じ水準にまで戻っています。夫婦が産む子どもの数は少なからず増えているのにTFRが下がっているのは、無子率が上がっているからです。つまり、CPMを多少上げても、それ以上に無子率が上がってしまえば、帳消しどころかマイナスになるわけです。
子育て支援偏重が「結婚できる階層の選別」を生んだ
むしろ問題は、無子率が上がったことの方であり、未婚率の上昇、初婚数の激減とともに、結婚しても第一子を産めなくなっていることにあります。これこそ2015年以降顕著になった「経済的上位層しか結婚も出産もできなくなった」ことを意味します。言い換えれば、「子どもが産める階層の選別」が激しくなったということです。
CPMが低下していた90年代に子育て支援策は意味があったことでしょう。しかし、それを延々と繰り返した挙句、むしろ子育てコストの高騰とともに、結婚できる・できないの経済的階層を作り上げてしまいました。最近の若者が「金がなくて結婚できない」と嘆いているのは、もはや若者の中間層の年収では結婚できなくなっているからです。
こども家庭庁や自治体の子育て支援自体は否定しませんが、そこばかりに焦点を当てすぎた結果が、かえって無子率を上げてしまったという皮肉を招いています。
少子化対策をするのであれば、今、現象として何が起きているかを正確に把握して、そこに適した施策を当てないと無意味になります。決して若者が結婚離れや子どもを持つことを忌避しているのではありません。不本意未婚と不本意無子がこれ以上増えないよう手を打つことこそが、真の少子化対策となるでしょう。
