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「時間稼ぎ」の為替介入では円安は止まらない! 「物価安定」を掲げながら利上げに踏み切らない日銀の大いなる矛盾

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金融政策決定会合
日銀は4月の金融政策決定会合で利上げを見送った(写真:ブルームバーグ)
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ところが、ガソリン価格においても為替レートについても、日本で行われているのは、金融政策ではなく、政府が直接介入することで価格高騰や円安を抑え込むことだ。

政府によるガソリン価格の抑制策が実施されるため、市中のガソリン価格はそれほど大きく上昇していない。しかし、それは見かけ上のことであって、現在の日本がガソリン価格の重要な問題に直面していることは間違いない。

このような価格に直接介入する政策ではなく、その背後にある総需要に影響を与える金融政策によってガソリン価格の高騰や円安に対処することが望ましい。つまり、日銀の金融政策で対応することが期待されるのである。

日銀が為替レートに無関心でよいわけではない

日本では、為替レートは財務省の所管であり、日銀の所管でないといわれる。では、日銀は為替レートに無関心でいいのか。

制度上の「所管」と金融政策上の「関心」は分けて考える必要がある。日銀の金融政策は為替レートに大きく影響する。ただし、日銀の所管は、為替レートではなく、物価の安定だ。日本銀行法は、日銀の金融政策について「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資すること」を理念としている。

そして、日銀が決める金利や金融緩和・引き締めは、円相場に強く影響する。例えば、日銀が低金利を長く続け、アメリカなどとの金利差が広がれば、円は売られやすくなる。逆に、日銀が利上げ方向を強めれば、円高方向の圧力がかかる。つまり、日銀は為替を所管していないが、為替に影響を与える最重要主体の1つだ。

日銀が為替に関心を持つべき最大の理由は、為替が輸入物価、企業収益、賃金、消費者物価に影響するからである。円安になれば、輸入品、エネルギー、食料、原材料の価格が上がりやすくなる。それが消費者物価を押し上げれば、日銀の「物価安定」の判断に直接関係する。実際、日銀は物価安定を金融政策の中心目的としており、2%の物価安定目標を掲げている。

したがって、日銀は次のように考えるべきだ。

為替レートそのものを目標にはしない。しかし、為替変動が物価・賃金・景気・金融市場に与える影響は、金融政策判断の重要材料である、とーー。

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