元財務官の中尾武彦氏(国際経済戦略センター理事長)は2月6日、ロイターの取材に対し、円安の一因は利上げに慎重な日銀の姿勢にもあると答え、国際通貨基金(IMF)が試算する円の購買力平価1ドル=90円台に比べて現在の日本円は極端に安いと説明した。
そのうえで「すでにインフレになっているにもかかわらず、『基調的なインフレ率は2%に達していない』『アメリカの関税の影響を見極めたい』など、さまざまな理由で利上げを遅らせている」「24年7月の利上げ後に株価が暴落したため、利上げに慎重になっている可能性があるが、金融緩和と円安から来る株価や不動産の上昇は大企業や富裕層を利する一方で、消費者は物価上昇に苦しみ、社会の格差を広げている」と指摘した。
こうした前提の下、中尾氏はより積極的な利上げを日銀に要望。「実質金利が大幅なマイナスの状態が続く異例な金融緩和が続いており、修正が必要」「日銀は連邦準備制度理事会(FRB) のように毎回の金融政策決定会合で着実に利上げをしてもおかしくない」とした。
私は中尾氏の見解にほぼ100%賛成だ。
金利緩和政策によって円安が引き起こされている
現在の為替レートがこのように円安になってしまったのは、22年頃にアメリカの政策金利が急速に引き上げられたにもかかわらず、日本が政策金利の引き上げを行わなかったからだ。つまり、円安のもともとの原因は金融政策の遅れにある。
その後、日銀は金融政策の正常化を行っているが、追いつかない。これが円安の進行する基本的な原因である。こうした状況が変わらない限り、いくら介入しても円安への動きが続く。実際、今回の円安も、本稿の冒頭でも述べたように、日銀が4月の会合で利上げを行わなかったことによる面が大きい。
このように、金融政策は為替レートに重大な影響を及ぼし、為替レートは物価に重大な影響を及ぼす。だから、金融政策が為替レート、とくに円安に無関心であってよいはずがない。現在のような円安に対応するためには、介入ではなく、金融の引き締めが必要である。
日銀は、今回利上げを見送った理由として、イラン戦争の影響がはっきりしてないため、その状況を見極める必要があるとした。しかし、イラン戦争によるホルムズ海峡封鎖の影響は、極めてはっきりとした形ですでに現れている。原油価格の上昇だ。
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【円安・原油高対策の「あるべき姿」とは?】
