米国とイランは、戦争終結に向けた新たな提案を巡って探り合いを続けている。トランプ米大統領は、エネルギー価格上昇と自らの政治的立場の弱体化を招いた事態の収束を図りたい考えだ。
事情に詳しい関係者によると、米国はイランに対し、1ページの覚書を提示した。合意できれば、ホルムズ海峡の段階的な再開とイラン港湾に対する米国の封鎖解除につながる可能性がある。
イランは米国の提案に対し、数日以内に回答する見通しだ。イラン指導部は今のところコメントしておらず、受け入れるかどうかを示していないが、これまでのところ核開発計画で譲歩する兆しは乏しく、米国の提案に含まれるウラン濃縮の一時停止にも応じていない。
準国営イラン学生通信(ISNA)は、提案の内容に関する報道は「メディアの憶測や雰囲気づくり」に過ぎないとし、ウラン濃縮は現在の協議の対象ではないと伝えた。
交渉が進めば、双方はイランの核活動について協議することになる。トランプ氏は、この戦争の目的がイランによる核兵器保有の防止だと繰り返し述べ、イランはこれを一貫して否定している。トランプ氏は6日、合意の一環として米国がイランの高濃縮ウランの備蓄を「手に入れる」と述べたが、イランがこうした譲歩をする意思を示した様子はない。
原油価格は7日に2.2%下落し、1バレル=100ドルを下回って取引されている。
焦り
トランプ氏は、来週予定されている中国の習近平国家主席との会談を前に、切迫感を強めている。同氏はソーシャルメディアの投稿で、イランが和平案を拒否した場合、米国はより広範かつ強力な爆撃作戦を開始することになるとしている。また、6日のPBSニュースアワーのインタビューでは、来週予定されている習近平国家主席の訪問前にも合意に至る「非常に高い可能性」があると語った。
物価が主要な争点となる米中間選挙まであと半年というタイミングで、世論調査では、イラン戦争に対する米国民の反感が強まっていることが示された。
米自動車協会(AAA)によると、ガソリン価格は1ガロン=4.50ドルを突破し、2022年7月以来の高値を付けた。戦争終結でガソリン価格が急落するとのトランプ氏の予測に疑問を投げかける相場動向となっている。
トランプ氏は紛争を通じて合意が近いと繰り返し示唆してきたが、実現には至っていない。同氏は6日、米紙ニューヨーク・ポストに対し、合意締結に向けた首脳同士の直接会談を検討するには「時期尚早」の可能性があると認めた。
イスラエル当局は、米国による戦争終結に向けた動きに、慎重な姿勢を示した。ダノン国連大使は7日、軍ラジオに対し、潜在的な合意については「声明や見出しで急ぐのではなく、見極める必要がある」と述べた。
ネタニヤフ首相は、和平に向けた取り組みについて米国と緊密に連携しており「不意打ちはない」としている。
中国も懸念
中国の王毅外相も6日、訪中したイランのアラグチ外相に対し、「戦闘再開は賢明ではない」と述べ、米国との恒久的な停戦を目指して交渉を継続するよう促した。イラン学生通信によると、アラグチ氏に対して中国は独自の4項目の提案を示したという。詳細は明らかになっていない。
中国側の公式声明によると、「海峡の正常かつ安全な航行の回復について、国際社会は共通した懸念を抱いている」と、王氏はアラグチ氏に対して表明。「中国は、関係各国が国際社会の強い要請に一日も早く応じることを期待している」と続けた。
中国はイランと緊密な経済・外交関係を維持し、イラン原油輸出の約9割を受け入れているが、戦争が始まって以降は表立った対応を控えてきた。
著者:Fiona MacDonald、Salma El Wardany

