今回、「中国の共産党大会みたいだ」との声も多く聞こえた。だが、党大会で軍楽隊が演奏しても中国人民解放軍は「党の軍隊」なので、法的な齟齬(そご)はない。対して自衛隊は、自民党に所属しているわけでない。法的に言えば、自民党と自衛隊のコンプライアンスは一党独裁の中国以下ということになる。
これは第2次世界大戦のアメリカが組織した中国への義勇飛行隊「フライングタイガース」と同じだ。これは日米開戦の半年前に編成され、「アメリカ合衆国義勇軍」(AVG)と名付けられ、最終的にパイロット70名、地上勤務員104名となった。
自衛隊は自民党の軍隊ではない
民間人として中国に渡航、現地で正式に中華民国軍に入隊という形をとった。だが彼らはアメリカ軍軍人であり、機材もアメリカが提供していた。これは1907年のハーグ陸戦条約(中立国義務)に違反する「義勇兵」という名の武装介入だった。
このケースは、党大会での歌唱が「私人」だから問題ないと同じ論法だ。であれば、「私人」として陸自の隊員が義勇兵として陸自の装備を使ってウクライナの戦場で戦っても問題はないということにならないか。
そして自民党、防衛省、陸自に共通して法に触れても罰せられないという確信犯的な認識があった可能性もある。例えば 自民党の派閥の政治資金パーティー裏金事件に関して、東京地検特捜部が刑事立件の目安を「5年間で不記載額が3000万円以上」とし、それを下回る議員の多くを不起訴処分とした。つまり3000万円以下であれば犯罪やってもOKと検察が認めたのだ。
東京高検の黒川弘務元検事長(当時)が、緊急事態宣言中に知人の新聞記者らと行っていた賭け麻雀をやった事件があった。刑法185条では、たとえ1円でも現金を賭ければ原則として賭博罪が成立する。
だが当初、法務省や検察は「必ずしも高額とは言えない」といった理由で不起訴(訓告処分)とした。検察は身内の検事を擁護するために法を曲げたわけだ。その後、不起訴処分となったのち、検察審査会で「起訴相当」の議決を受け、最終的に略式起訴された。
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【半世紀近く前の事例】
