永瀬はアイドルグループのメンバーとして、「かっこいい」「応援したい」という感情を持つファン層が厚い。このパラソーシャル関係が「保護型」、つまり本人への直接批判を回避させる方向に働く。
《彼も可哀想な存在ですね》《若い男性は冠婚葬祭の経験少ないですし》というコメントの言葉遣いに、この保護的感情が透けて見える。
批判の衝動は確かに存在する。しかしそれを「永瀬が悪い」ではなく「周囲の人が教えなかった」という形に変換することで、制裁衝動と保護感情の両方を同時に満たすことができる。これが「周囲批判型」コメントが上位を占めた心理的なメカニズムだ。
三吉彩花のケースと比べてみると、より鮮明になる。
三吉は女優・モデルとして「自立した表現者」のイメージが強く、「守りたい」という保護的パラソーシャル関係は生まれにくい。だから批判はストレートに「本人のキャリア判断への採点」という形をとった。
見た目に対する批判の「形」は、その人物のキャラクターイメージが決める。これが「見た目の科学」から見えてくる、今回の騒動の本質だ。
SNSが「指摘衝動」を増幅させる
ではなぜ、こうした指摘がSNSで爆発的に広がるのか。
心理学者のクロケット氏は、SNSが道徳的怒りを増幅させる構造を分析した(※5)。
対面の状況であれば、他人のマナーを指摘することにはリスクが伴う。相手の表情を見なければならない、反論されるかもしれない、周囲から「余計なことを言う人」と思われるかもしれない……。こうした社会的なブレーキが衝動を抑制する。
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【SNS特有の「集団極性化」】
