まず、前提として押さえておきたい事実がある。
今回の永瀬の結婚式での写真を見た瞬間に起こった、「あ、黒いネクタイだ」という認識は、意識的な思考よりもはるかに速く起きている。
心理学者のトドロフ氏らの研究によれば、人間の脳は他者の顔を0.1秒で評価し、信頼性・有能性を自動的に判断する(※1)。しかしこの瞬時の処理は、顔だけに限らない。
同じく心理学者のトリーズマン氏とゲラード氏は、色は「前注意的特徴」として、意識的な注意より先に脳内で処理されることを示した(※2)。赤・青・黒といった色の違いは、私たちが「見ようとする」より先に、脳が自動的に検出している。
「マナー違反を見ると制裁したくなる」は本能だ
つまり今回の写真を見た瞬間、脳は「黒いネクタイ」という色情報を意識的判断より先に処理する。そして長年の文化的学習によって形成された「黒=弔事」という連想が、自動的に活性化される。
「光沢素材だから大丈夫かも」「ディオールのものだから」「メンバーカラーが黒だから」という文脈情報は、この自動処理の後でしか浮かんでこない。だからこそ、永瀬のバックグラウンドを知るファン以外は、瞬間的に批判コメントを書き込んでいたのだ。
見た目の情報は、言葉や文脈より速く、そして深く、脳に刻まれる。これは視覚情報が他の感覚情報より優先的・無意識的に処理されるという「見た目の科学」の基本原則でもある。
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【人間は「規範逸脱者を見つけ、正したくなる」回路が発達】
