「レストアするのであれば、純正っぽく全部をフルレストアして、これから何十年も維持できるような個体をどんどん作ってあげたいですね。絶滅を防いでいきたい、っていうことですかね」
「若者のクルマ離れ」という言葉が長く語られてきた。しかし瀬戸さんを見ると、そのような言葉が間違っていたのではないかと思えてくる。
瀬戸さんが所有するAE86は、今では当たり前となっている装備のABS(アンチ・ロック・ブレーキ・システム)もないし、GTVグレードなのでパワステもないが、そのハンドルを握ると、「本当に操っている感がすごくて、楽しいクルマだなと思います。そこが魅力だと思うんですよね」。
旧車に魅力を感じる若者の心理
至れり尽くせりの安全装備と快適装備で覆われた現代車では失われてしまった、「手軽さ」や「親しみ」。そんな本来クルマが持っていた「バディ」としての役割を求める若者が、旧車を好きになっているのではないか。
若者がクルマから離れたのではなく、「味のしないただの便利な移動手段」となったクルマが現代の若者から離れていったのではないだろうか。
26歳の社員をマネージャーに抜擢し、長年培ってきた技術の継承を託す。こうしたトムスの試みは、巨大な自動車メーカーだけでは成し得ない、メーカー周辺だからこそできる持続可能な自動車文化の紡ぎ方なのだと感じた。
