インテリアは純正シートをベースに内部のウレタンを修復し、当時の風合いに合わせた織物素材で表皮を新調。往年のトムスステアリングを探し出して装着。ホイールはトムスの象徴である井桁デザインを2ピース構造で復刻。オフセットの自由度を高めながらも1ピースの雰囲気を自然に再現し、センターキャップやロゴも当時デザインをベースに新たに制作した。このホイールは、パーツとしても販売予定だ。
74年設立の名門トムスについて
瀬戸さん本人も、26歳という若さでプロジェクトマネージャーという立場になれるとは想像していなかっただろう。そのトムスとは、どのような職場だろうか?
「トムスはレースやクルマに関わってきた層が厚いですね。ハチロクを当時走らせていた人もたくさん現役で残っています。エンジン作っていた人とか、設計された方とかがいて、“ボディのここが当時から弱いんだよね”みたいなところもよく知っている。そんな人からお話聞かせてもらえるっていうのはすごいなと思います」
大企業であれば人事異動でノウハウが散逸しかねない。しかしトムスほどの規模と自動車に関する一貫した文化があれば、当事者が今も現場にいる。その「生きた設計図」を持つ組織の中で26歳のマネージャーが仕事をしているという事実は、自動車文化の継承という観点から見て、希有な存在の企業だ。
今後の展開については、レストアプロジェクトの車種を広げることも考えられるが、瀬戸さん個人としては、ハチロクの深掘りを続けたいという。グレードや年式による装備や内装の違い、限定色への対応、数が減り続けるパーツ、程度の良い個体の減少など、課題は尽きない。
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【若者のクルマ離れと旧車ブームに感じるギャップ】
