「良い我慢」とは、ある一定の期間正しい努力をすることで、人を成長させるものです。
実際にひとつの仕事分野で周囲から評価されるくらいのスキルを身に付けるには、「一定の時間・一定の努力」をしないといけないことが実証されており、この努力の閾値のことを、組織論では「最低必要努力投入量(MER)」と呼びます。
どんな仕事であれ、その仕事がただわかり、ただこなせるだけでなく、自分なりの価値を生み出せて面白いと思えるレベルまで引き上げるためには、ある程度の時間と経験の蓄積が必要だということです。
目の前の仕事が自分に向いているかわからないと思った時こそ、「まだMERに達していないだけかもしれない」という視点も持っておくと、冷静な判断につながります。
つまり、キャリアにおける「良い我慢」とは、言い換えれば、「もしあなたが転職活動をすることになっても困らないくらいのスキルを身に付けるために必要な我慢」であるといえます。
反対に、キャリアにおける「悪い我慢」とは何でしょうか。
それは耐えられないほど悪質なパワハラやセクハラを受けていたり、会社の不正に加担させられそうになっていたりする状況のことです。
そんな場合であれば、「石の上にも三年だよね」「スキルが身に付くなら……」と言っている場合ではありません。四の五の言わずに今すぐ辞めてしまいましょう。
今すぐ辞めるべきか判断するチェックリスト
私は普段、人事側として企業の採用活動にも関わっていますが、「人は一度辞めたら、辞め癖がつく」などということは、毛頭ないと思っています。
「辞めたことより、その理由によるだろう」というのが本音です。前の会社を早期離職した人であれば、離職理由は事細かに尋ねますし、相応の理由がきちんと説明できるならまったく問題ありません。
実際、採用担当者の多くが見ているのは「なぜ辞めたか」よりも「その辞めた経験から何を学んだか」と「その学びを次の仕事でどう活かそうとしているか」という点です。
みなさんはこれらの質問に答えることができるでしょうか。
まずは自分の中で辞める理由を整理して、次のキャリアに何らかの意志を持ちましょう。
大切なのは、今あなたが直面しているモヤモヤが、今後のキャリアにとって必要な「良い我慢」なのか、それとも心身を破壊するだけの「悪い我慢」なのかを峻別すること。
ただ、実際には多くの人にとって、その判断は難しいでしょう。
そこで、「今すぐ辞めるべきかどうか」を判断するチェックリストを用意しました。
重大レベルごとに「A・B・C」と項目があります。
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