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WBC騒動で政府も動き出したけれど… "視聴の自由"を約束する「ユニバーサル・アクセス権」が"魔法の杖"にはならない理由

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WBC
ネットフリックスでしか見られなかった今年のWBC。ついには政府も動き出す事態に…(写真:Imagn/ロイター/アフロ)
  • 境 治 メディアコンサルタント
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韓国の制度は国民的スポーツイベントを国民の90%が視聴できることを義務づけた制度で、無料を条件にしていない。JTBCは有料チャンネルで、韓国では多くの世帯がケーブルテレビに加入している。理屈としては90%以上視聴可能になるのだ。

このように制度があってももめることもある。UA権は魔法の杖ではない。

UA権の制度化で問われる2つの課題

そもそも、UA権の対象となるのは当該国の国内だ。放映権を持つ相手が海外企業であれば、その効力は限定される。

WBCの主催者は、MLB(メジャーリーグベースボール)機構とMLB選手会が設立したワールド・ベースボール・クラシック・インク(WBCI)だ。アメリカにUA権の概念はなく、放映権の売買は「商業の自由」だと解釈される。

MLB機構は日本の独占禁止法の適用外でもある。日本政府がUA権を法制化したところで、MLBに「安く売れ」とは言えない。

制度はあくまで国内の放送・配信事業者を縛るものにすぎない。海外の競技団体が高額の放映権料を求める構造は変わらず、UA権は「誰が差額を負担するか」を解決できないのだ。

そして、実際に政府の有識者会議が始まれば、必ず問われるのが「何が国民的スポーツイベントか」という定義だ。

日本で野球が人気になった背景には、読売・朝日など新聞社が長年拡販ツールとして使ってきた歴史がある。さらにWBCは、そもそもMLBが主導するアメリカ中心の商業イベントだ。そして、若い世代は中高年ほど野球が好きでもない。

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【欧州ではどう線引きしているのか】

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