会津の砲煙の中で育った一人の少女
NHK朝ドラ『風、薫る』でキーパーソンの一人となっているのが、多部未華子さんが演じる大山捨松(すてまつ)である。どんな生涯を送ったのだろうか。
安政7(1860)年、会津藩家老の山川重固の末娘として、一人の少女が生まれた。幼名はさき。のちの「捨松」である。
生まれた時にはすでに父は世を去っており、祖父と厳格な母に育てられた。母は子どもたちに軍記物を読み聞かせながら、武家の娘としての心構えをことあるごとに叩き込んだという。そんな母の薫陶が、捨松にとっては、後に激しい試練を乗り越える精神力の源となる。
捨松やその家族の運命を一変させたのが、慶応4(1868)年に勃発した会津戦争である。
8歳の捨松は家族とともに鶴ヶ城に籠城しながら、弾薬の運搬を担った。
朝ドラ「風、薫る」の15回放送では、捨松が戦火に遭った幼少期を回想するシーンがあった。実際の捨松も、砲弾が飛び交う極限の状況を間近で体験していた。砲弾の炸裂によって義姉を亡くし、捨松自身も首に傷を負ってしまう。
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【函館のフランス人家庭に預けられることに】
