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母の再婚相手「大学なんて穀潰し」進学妨害された鮎川ぱて氏が東大ボカロ音楽論の超人気講師を経て得た"呪いからの解放"

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鮎川ぱてさんのアイコンイラスト
鮎川ぱてさんのアイコンイラスト(イラスト:鮎川さん提供)
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また、いつの間にか時間が経って、東大も自分が学部生だった時とは雰囲気が変わりました。自身が学部生だった時に感じた、大学院の殺伐とした空気の悪さが変わっていると感じたことと、同じ東大でもどの研究室を選ぶかで全然違うとわかったんです。

17年から東京大学先端科学技術研究センター(先端研)の連携研究員という形で所属させていただくようになり、現在の指導教員の稲見昌彦教授に出会い、この先生にだったらついていけると思いました。

24年に一次試験の書類審査に単著を提出し、二次試験の面接を突破して、東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻の博士課程への進学を決めました」

東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻の博士課程に進学した(写真:鮎川さん提供)

「普通」に縛られる必要ってありますか?

こうして東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻に進んだ鮎川さん。社会人を経てから博士課程に入って良かったことを聞くと、「半分教員・半分院生の扱いでプロジェクトやゼミの運営などをさせていただけていること」「社会人を経験したおかげで、民間の方とご一緒するときの振る舞いを伝えられる場面もあること」と答えていただきました。

「超初歩的な、名刺のお渡しの仕方とかも含まれますけどね(笑)。でも、民間で得てきた経験をラボのメンバーに共有するのは地味だけど自分の役目だと思っています」

民間で得てきた経験をラボのメンバーに共有するのは自分の役目(写真:鮎川さん提供)

現在も博士課程の院生、そして東京大学と東京藝術大学の教壇に立ち活躍している鮎川さんに、最後にメッセージをいただきました。

「僕の主な対象は変わらず音楽ですが、ジェンダー/セクシュアリティを重視した批評を行っています。それが、ジェンダー論、フェミニズムの入門的理解を広めることへの貢献になっていると思います。

僕がフェミニストなのは、すごく簡単に言うと、やはり母子家庭出身だからです。僕は東大と藝大院の学費を母や祖母に出してもらいました。祖母は女性が大学に行くような世代じゃなかったので、最終学歴は尋常小学校の中等科です。

けれども、その時代に珍しいワーキングウーマンとして成果を上げた人でした。こんなのは『時代の制約』にすぎなくて、時代が違って今だったら、祖母は、自分の力で大学に行けた人間だと思います。だからでしょうね、家族の中でも、祖母は僕の東大合格やその後の進路を一番応援してくれました。

自身がジェンダー論の議論で伝える概念として、ノーマティビティ(人がそれを「普通」と思っている規範)があります。ときに言語化されないけど、『普通みんな、こうするものだよね』とされている概念です。恋愛の対象が異性に向いているヘテロセクシュアルや、出生時の性別と本人の性別が一致しているシスジェンダーであることを自明視すること。

それらはとくにセクシュアル・ノーマティビティと言われるもので、そういう風潮は世の中にまだまだ残っていますが、そういうものに縛られる必要はないよということを伝えたくて、セクシュアル・ノーマティビティ批判の講義をやっています。

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【どうしても伝えたい事】

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