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小型ロケット「カイロス」打ち上げ3連続失敗で問われる年30機構想の現実味 スペースワンが直面、技術・資金・市場の三重苦

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打ち上げられた「カイロス」3号機。その後、飛行中断措置が取られた(写真:時事)

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宇宙スタートアップのスペースワンが3月5日に打ち上げた小型ロケット「カイロス」3号機は68.8秒後に飛行を中断し、自動的に爆発した。これで初号機から3回連続での失敗となった。

その直後の会見で豊田正和社長は「今回も確実にノウハウや経験を蓄積して前進できた。失敗とは考えていない」「失敗は私どもの文化には存在しない」と発言し、波紋を呼んだ。

同社は創業した2018年から打ち上げについて「20年代後半に年間20機」という目標を掲げ、さらに24年には「30年代初めに同30機」との目標も打ち出した。修正の必要性を尋ねる質問に対しても、豊田社長は「(計画を)変えるつもりはない」と強気の姿勢を崩さなかった。

ただ、目下の状況を俯瞰すると、達成は容易ではない。衛星などを積んで宇宙空間に届ける同社のビジネスは、小型ロケット市場の環境変化も受けて3つの大きな課題に直面しているからだ。

難易度の高い自動制御

1つ目の課題は、失敗を乗り越えること自体の難しさだ。

「カイロス」3号機の打ち上げ失敗について記者会見するスペースワンの豊田正和社長。「失敗は私どもの文化には存在しない」と発言した(写真:時事)

スペースワンが発表したこれまでの失敗原因は、初号機が推進力の予測とのズレによる自律飛行安全システムの作動、2号機が姿勢制御に関わるセンサーの不具合だった。3号機については調査中だが、自律飛行安全システムに異常が起きた可能性があるという。

自律飛行安全システムがらみが3回中2回とみられることは、自動で異常を瞬時に判断する仕組みの制御や、その閾値設定がいかに難しいかを示している。このシステムは世界最先端のもので、日本の基幹ロケットでは正式運用した実績がない。

そうした困難なチャレンジでつまずいている段階にもかかわらず、安定して成功を重ねることが前提となる高頻度な打ち上げの早期実現を掲げている計画は、現実との間にギャップがあると言わざるをえない。

2つ目の課題は、目標の時間軸に対する進捗の遅れと、その影響だ。

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