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トランプ氏のホルムズ逆封鎖で歴史的な海運危機はむしろ深刻化、通常の輸送に戻るには早くても数カ月を要する見通し

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(写真:ブルームバーグ)

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エネルギー輸送の要衝ホルムズ海峡で1カ月にわたり混乱が続いた後、トランプ米大統領は4月上旬、SNSに「もう少し時間があれば、ホルムズ海峡を容易に開放し、石油を手に入れて、大もうけできる」と書き込んだ。

それから3週間後、ホルムズ海峡の通航は史上初めて実質的に不可能な状態となった。トランプ政権はイラン関連船舶に対する封鎖を実施し、これに対抗してイランは小型武装艇による「蚊の艦隊」を用いて海峡を封鎖している。船主らによれば、通常の輸送に戻るには早くても数カ月を要する見通しだ。

通航量は、米国とイスラエルによるイラン攻撃開始後すでに制限されていたが、現在はゼロに近い。平時の1日当たり約135隻と比べ激減している。

ここ数週間、船主や乗組員は、イランがホルムズ海峡の管理を強化する中で、革命防衛隊という大きな障害に直面していた。現在ではこれに加え、米海軍艦艇がペルシャ湾から離れた海域でも船舶に介入し、さらに予測困難なイランの小型武装艇が対応するなど、状況は一段と複雑化している。

湾岸地域の複数の海運関係者は、米国の封鎖措置がかえって地域の不安定化を招き、イランが海峡封鎖の取り組みを強める結果になっていると話す。

フリート・マネジメントのラジャリンガム・スブラマニアム最高経営責任者(CEO)は、米国の封鎖は船舶のリスク範囲を拡大させているように見えると指摘。「双方の駆け引きが続き、不確実性はむしろ高まっている」と語る。ペルシャ湾内に400人超の船員が取り残されているという。

イランの耐久力

湾岸の産油・ガス生産国と世界を結ぶホルムズ海峡は、8週間に及ぶイラン戦争の最大の焦点となっている。これは、イランが非対称的に世界経済に打撃を与える能力を日々示す象徴であり、双方が強硬姿勢を崩さない中で紛争解決の難しさを物語っている。

米シンクタンク、新アメリカ安全保障センター(CNAS)でシニアフェローを務めるレイチェル・ジエンバ氏は、「ホルムズ海峡は明らかに交渉上の重要なカードであり、イランの対応がどの程度統制されているかを測る指標でもある。米国の封鎖はイランの影響力を抑えるため部分的に実施されたが、イランには一定の余力と最近の収入があり、時間稼ぎが可能だ」と話す。

イランの耐久力は、長年の自給体制や衝撃に耐える制度設計、そして最近の石油収入に支えられている。一方で、世界経済に残された時間は限られている。

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【「かつての世界に戻ることはない」】

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