戦争が長引くほど、供給不足や価格高騰がエネルギー市場と世界のサプライチェーンに波及し、輸入依存度の高いアジアだけでなく、米国を含む世界全体への経済的打撃は拡大する。
ゴールドマン・サックス・グループのダーン・ストルイベン氏らアナリストによると、ペルシャ湾岸諸国の原油生産はすでに戦前水準を57%下回っている。海峡が完全に再開しても回復には数カ月を要する可能性があり、「長期封鎖の後では持ち直しは部分的にとどまる恐れがある」と先週のリポートで分析した。

戦争の長期化は、トランプ政権がもたらした複雑な問題の解決をさらに難しくしている。新たな協議もまだ合意されていない。
商船三井の田村城太郎社長は比較的早く終結することを期待していたとしながら、すでに7週間以上この状況が続いており、解決にはある程度時間がかかると見込むのが現実的だと思うと述べた。シンガポールでのインタビューで、「かつての世界に戻ることはない」と語った。
ホルムズ海峡の通航は、2月末に米国とイスラエルがイラン攻撃を開始するとほぼすぐに急減した。
その後、一部の船舶の安全通航を確保する二国間合意や、イラン独自の決済制度など、代替策も浮上。イランの船舶自体は航行を続け、市場に一定の供給をもたらしていた。
不満募らせたトランプ氏
4月前半の暫定的な停戦は西側の船主に安心感を与え、海運大手APモラー・マースクは「通航の機会」を検討していると発表。今月11日にはスーパータンカー3隻が海峡を抜け、戦争開始以降で非イラン産原油の搬出としては最大規模となった。
しかし、進展の遅れに不満を募らせたトランプ氏は、イラン封鎖計画を発表した。
当初は一定の効果があったようにも見えた。イランはホルムズ海峡経由の海上輸送を一時的に停止することを検討し、アラグチ外相は海峡を開放するとその後公表した。だが、トランプ氏は自らの封鎖を解除せず、イランの主要勢力の反発を招いた。
先週は船舶への攻撃や拿捕(だほ)が相次ぎ、混乱した状況となった。
ペルシャ湾に取り残された数百隻の船舶を管理する関係者にとって、長期化する戦争は約2万人の船員の安全という新たな懸念をもたらしている。
船主や運航会社によると、多くは日々の連絡やカウンセリング、十分な食料と水の確保などで対応している。一部では契約終了に伴い乗組員の交代も進んでいるが、新たな人員確保は困難でコストも高い。
一部企業や国際海事機関(IMO)は退避計画を策定しているが、戦闘終結が見えない中では、実際に実行できるかは不透明だ。
船主CMB.TECHのアレクサンダー・サベリスCEOは、「現時点では政府から安全の保証が全く得られていない」とし、「船舶が安全かつ持続的に通航できる状況が確認されて初めて、そうした保証も得られる」と述べた。
著者:Weilun Soon
