VAIOの法人ビジネスが伸びた背景は、購入を決める情報システム部門と、実際に使う従業員の「2人のお客様」を同時に満足させる製品作りにある。7色のカラーバリエーション、アルミ合金パームレスト、AIノイズキャンセリングなどの仕様で「ちょっといいPC」として法人市場で選ばれてきた。
だが、慎重に品質を積み上げるやり方は、裏返せば動きの遅さでもあった。新しいアーキテクチャのプロセッサーが出ても、確認に確認を重ねてから製品化していた。林氏は「もう少し早く出す方法はあったと思う」と振り返る。
ノジマ傘下で変わったのは、このスピード感だ。法人営業の現場では、RFP(提案依頼書)にCopilot+ PCを指定する企業が出始めていた。営業からは早期対応を求める声が上がり、VAIOは初のCopilot+ PC対応モデルの投入に踏み切った。
筐体を変えずに中身を作り直す
新型VAIO SX14-Rは、インテル Core Ultra シリーズ3 プロセッサーを搭載した。AI処理性能を示すNPUは従来の最大11TOPSから最大50TOPSへ引き上げている。外観やインターフェースは現行モデルから変えていない。使い慣れたユーザーが違和感なく移行できるようにするためだ。
ただし、内部のマザーボードは新規設計した。開発本部プロダクトセンターの柴田雄紀プロダクトマネージャーによると、新プロセッサーはウエハーの微細化で熱密度が増し、動作温度の上限も下がった。定格電力は変わらないのに冷却条件が厳しくなったため、放熱フィンの設計を見直して温度上昇を抑え込んだ。
結果として、ベンチマークスコアは約10%向上しながら、ファンが高回転で回る時間は約半減した。バッテリー駆動時間は動画再生時で最大約20.5時間と、現行モデルから約30%伸びている。最軽量構成時の重量は約958gだ。
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【「NPUを活用したいというよりは、最新のPCが欲しいという声がほとんどだ」】
