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「吹奏楽部の指導」はまるで都市伝説、呼吸法も高音奏法も「エビデンス」がない?《指導の質》を高める科学的検証の必要性

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吹奏楽イメージ
吹奏楽部は地域展開の中、「指導の質」をどう担保すべきか(写真:V-MAX/PIXTA)
  • 渡郶 謙一 北海道教育大学音楽文化専攻合奏研究室 21世紀現代吹奏楽レパートリープロデューサー
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「金管楽器の高音奏法」もまた非常に多様であり、確実なエビデンスを見つけることが難しい“都市伝説的な指導法”の1つである。

以下は、先述のアンケートで、金管楽器の高音吹奏について、都市伝説的な指導がどのくらい行われているのかを調査した結果である。

高音の吹き方についての指導がいかに多様であるかがわかるのではないだろうか。正反対の指導が同程度存在しているものもあり、統一された指導というものが確立されていない、認知されていないということがうかがえる。

実際問題として、科学的な根拠、すなわち個人差の影響を受けない確定的な事実・事象によって「理詰め」で確立した高音奏法について、これまで一度も見たことがない。

期待が膨らむ「金管楽器吹鳴」の研究

だが実は、科学者の間ではすでに数十年前から、金管楽器吹鳴のメカニズムを解明しようとする動きがある。代表的なのは、筑波大学博士課程学生だった榎田氏らの論文(※)である。彼らは人工の吹鳴装置を作り、金管楽器の発音元である唇の振動を再現し、さまざまな角度から唇のアパチュア(唇の隙間)が音の高さに与える影響について検証を行ってきた。

※榎田翼・若槻尚斗・水谷孝一、2013、「トランペットの吹鳴における唇のアパチュアの大きさが音高に与える影響」、電子情報通信学会論文誌、J19-A、No.5、pp197-204

人工の吹鳴装置(写真:「19th International Congress on Sound and Vibration」での榎田翼・若槻尚斗・水谷孝一の発表論文より)

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【「人工口唇」と「人間の唇」の違いを生むものは?】

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