では、そもそも「譲歩」って、どういうことでしょうか?
(『明鏡国語辞典 携帯版』より)
譲歩表現の代表例は、下記のものを押さえておけばいいでしょう。
もちろん/もっとも/むろん/たしかに/なるほど/一見/もとより
反対意見の人も納得してしまう表現方法
読解とは、書き手の主張を正確に理解することです。
そのため、「相手の意見をいったん認め、相手の意向に従う」ように見える譲歩表現は、読解においてあまり重要ではないと感じる人もいるかもしれません。
しかし、じつは譲歩表現こそ、書き手の主張の正当性を高める重要な働きをしています。
たとえば、譲歩表現には次のような構造があります。
——ここまでが譲歩
「ただ、それをわかったうえで私はこう思うんだよね」
——この部分が主張
つまり譲歩表現とは、相手の主張や一般的な考え方の中にある「たしかに正しい部分」をいったん受け止めたうえで、それでもなお「自分が主張したいこと」を示す表現なのです。
読者にとっても、いきなり自分と異なる意見を突きつけられるより、「あなたの考えにも一理あるよね」と共感を添えたうえで、新しい視点を示されるほうが納得しやすくなります。
反対意見を持っている人でさえ、思わず「たしかに、そこまで考えたうえでの主張なら理解できる」と感じやすくなる。自分が本当に伝えたいことが、伝わるための土台を作る。
これが、譲歩表現の大きな力です。
読解の際には、「譲歩表現には、一般論や他者の意見が置かれる」「そのあとに、書き手の本当の主張が来る」と意識して読むことが大切です。
この視点を持っておくと、譲歩部分を主張だと誤読せず、書き手が本当に伝えたい箇所を見つけやすくなります。
このように、文章の構造を意識して読むことで、書き手の意図はぐっとつかみやすくなります。
一方で、表面の言葉だけを追ってしまうと、その意図を見誤ってしまうこともあります。
だからこそ、「断片的な表現」に振り回されず、「文章の骨組み」から意味を読み取る力が必要なのです。
