試乗インプレッション
削ぎ落とすことで磨かれた軽快な走り
スペイン・マラガの郊外。朝の澄んだ空気の中で跨った新型モンスターは、第一印象からどこか“肩の力が抜けている”。スターターボタンを押すと、新世代のVツインが軽やかにまわり始めた。かつてのような荒々しい鼓動感は控えめで、耳に届くのは整ったリズムと、奥に潜む確かな力強さ。ずいぶんと洗練されたな、というのが正直な印象だ。
思えば92年、ケルンショーで衝撃のデビューを飾った初代モンスターは、「ネイキッドとは何か」という常識を根底から覆した存在だった。コンセプトはシンプルにして明快――“必要なものだけを残し、余計なものは削ぎ落とす”。その思想を現代の技術で再構築したのが、この新型である。見た目のアイコンである“バイソンバック”タンクやコンパクトなテールまわりはしっかり受け継ぎつつ、全体のフォルムはより引き締まり、現代的な精度で再定義されている。
乾燥重量175kgの軽量ボディが生み出すフィーリング
走り出してすぐに感じるのは、車体のコンパクトさと動きの軽さだ。乾燥重量175kg、従来比−4kgという数字以上に、実際のフィーリングとして“ひとまわり小さいバイク”のような扱いやすさがある。押し引きの軽さはもちろん、走行中も車体の存在が主張しすぎない。むしろスピードが乗るほど、ライダーの感覚と自然に同調してくる。
その軽快さを支えているのが、構造そのものの進化だ。エンジンをストレスメンバーとしたモノコック構造に、「パニガーレV4」譲りの思想を取り入れたスイングアーム。そこにSHOWA製サスペンションを組み合わせ、剛性としなやかさのバランスを高い次元でまとめている。
足元はブレンボM4.32ラジアルキャリパーに320mmダブルディスク、タイヤはピレリ・ディアブロ ロッソIV。見た目以上に“ちゃんと止まって、ちゃんと曲がる”パッケージだ。
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【111psというパワー以上に感じる扱いやすさ】
