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「AI時代の経営者」に求められる矜持とは何なのか…SBI北尾吉孝が今も心に刻む、稲盛和夫が遺した"深い問いかけ"

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北尾氏が考える「AI時代」の経営者に求められるものとは(写真/阪巻正志)
  • 北尾 吉孝 SBIホールディングス代表取締役会長兼社長
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私が2021年9月、SBIグループで現在のSBI新生銀行の買収に乗り出したとき、社の内外の多くの人が反対しました。しかし、新生銀行は公的資金(税金)が3500億円も注入されているのに、その借金を返さないまま20年間も漫然と経営していた。そんな経営陣は許さないという義憤がありました。

国内銀行界で初の敵対的買収でしたが、私は大義があると思ったから、やり抜きました。結果的に、SBIグループ入りすることでシナジーが生まれ、短期間で3500億円の借金を全額返済し、再上場を実現することができました。

AI時代に求められるのは「人として何が正しいか」

今、AIが急速に発展しています。人間の知能を超えて世の中が根本的に転換する技術的特異点(シンギュラリティ)は、2030年初頭には始まるだろうと私は考えています。

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このAI時代において、人間が失ってはいけないことが2つあります。1つは考え続けること、もう1つはAIの制御権を失わないことです。

人間の仕事は価値判断であり、モニタリングであり、計画の策定、戦略の策定です。ワークフローの部分はAIやロボットが担うべきです。しかし、最終的な判断は常に人間がするべきなのです。

イノベーションは、ベンチャー企業から起こります。それを見越して、私は最先端のテクノロジーに関わる2700社以上のベンチャー企業にグローバルに投資をしてきており、そのうち約1100社が海外企業です。

ただ、どれだけテクノロジーが進化しても、最も大切なのは人としての正しさ、倫理観です。AI時代こそ「人として何が正しいのか」が、より問われてくるのです。

五感すら代替しつつあるAIに対し、人間が担うべき領域は第六感。インスピレーションや「どこへ向かうべきか」を感じるといった心の部分です。

そこで思い出すのが、稲盛さんの「動機善なりや、私心なかりしか」という問いかけです。人として正しい判断をするという姿勢こそ、これからの経営者に最も求められているものだと、私は確信しています。

(取材・文/乙野隆彦)

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