一定レベルの語彙力は当然求められますが、それだって語彙の問題集を1冊マスターしたら事足りるくらいのレベルでしかありません。
ということは、東大は決して知識量がある人だけが合格する大学ではないとも言えます。
大切なのはむしろ、素早く全体把握ができること。この力を求めていると言っていいと思います。
いまここで起こっていることが何か、その核心を早くつかむことによって、早く適切な対処ができます。
それでこそ日本や世界を動かすリーダーとしてふさわしいと考えてのことでしょう。
「メッセージ」さえ理解できればOK
重要なのは、断片的に読むことではなく、文章全体の骨組みをつかんだうえで読むことです。
文章を読む目的は、すべての情報を均等に理解することではありません。書き手が何を伝えたいのか、そのメッセージをつかむことにあります。
たとえば『アフターコロナで、会社を立てなおすために大事な20のこと』という本があったとします。
その場合、この1冊で著者が伝えたいのは「アフターコロナでの会社の業績の上げ方」です。もしくは、「業績をせめて元の基準まで戻す20の方法」かもしれません。読者が確認するのは、この20個の方法です。
それさえ理解できれば、「この一文の意味がわからない」「なんか難しい専門用語が出てきた……」という問題は、もはや問題ではなくなるのではないでしょうか。
自分の未来に役立つ何かを得ることができれば、文章を読む目的は達成したようなもの。ですから、基本的には、書き手の一番伝えたいメッセージさえ理解できればOKなのです。
日本語を正しく読む力とは、知識量ではなく、構造を捉える力です。東大入試が問うているのも、まさにこの読み方スキルにほかなりません。
情報があふれる時代だからこそ、こうした読み方の重要性は、これまで以上に高まっているのです。
