人間は、それぞれの情報に対して、「わからないこともあって当然」と、無意識に認識しています。
また、理解できないことは、これまでの経験や、もっている知識から予測し、その場や未来を乗り切る知恵を出すことを当たり前のようにやってのけているのです。
必要なのは「素早く全体把握する」こと
そんなわけで、私が教え子たちに国語科の授業で重視してきたのは、目で見てスピーディーに全体の内容を把握するスキルです。
「頭で読む」というよりは「目で見る」。つまり、「視覚で判断して、文章全体のイメージをわかせる」ということ。
とにかく文字を目で追いながら、繰り返される単語を拾ったり、その単語にまつわる情報をつなげて読んでみたりして、文章全体把握に必要な情報を入手していくのです。わかりにくければ、頭の中で文章が描き出している内容を映像化することも有効です。
まずは目で見て全体把握しておくことで、二度目、三度目に読んだときに、だいたいのピースが並んだところに詳細を埋め込むことがしやすくなります。
逆にいえば、細かい情報の処理は後回しでいいから、とにかく「全体像把握」に命をかける! そんなイメージです。
むしろ、ぱっと目で見てキーワードや筆者独自の視点を把握するからこそ、細かい説明の意味するところも、より明確に理解できるというわけです。
わからなければ、わかるところをつないで、「おそらくこういうことを言おうとしているのだろう」と予測を立てながら読み進めていく。こうする中で、じつはまた「新しい光」が見えてくるものなのです。
これはよく驚かれるポイントなのですが、東大入試はいかに「絶対的な基礎力」があるかということを問われます。ですから、東大入試の現代文とはいえ、決してひねりにひねった難しい問題ではないのです。
もちろん並んでいる語句を知っていればいるほど、内容の理解のスピードも速まりますし、全体把握に大いに役立ってくれます。
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【東大で求められるのは迅速な全体把握】
