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西武渋谷が9月末閉店へ…「文化を売る」セゾンが昭和世代を強烈に惹きつけたカラクリ

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セゾンはどんな存在だったのか(撮影:今井 康一)
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言葉を選ばずに言うと、こうした地主層の大半が戦後の農地改革によって土地を分け与えられたそれまでの小作農家であり、代々土地を保有していた大地主のような生まれついての富裕層ではない。真面目に農業に取り組んできた層であって、土地売却代金のような大金の使い道に慣れているというわけではなかった。

そのうえ、所有地を切り売りすればするほど、その価格は上がっていったので、時代を経るごとに大きな資金が流れ込むことになる。そんな「新富裕層」の方々に売却代金を払っているのが、購入する鉄道グループの不動産開発なのだから、誰がどのくらいの富裕層なのかも知っているし、深い接点もあった。

この情報をビジネスに活用しないはずもなく、鉄道系百貨店はこうした新富裕層と簡単に外商取引関係を構築できたのである。鉄道グループは流入する人口向けに住宅供給ビジネスを展開しつつ、開発過程において沿線に富裕層を作り出し、グループの重要顧客層として囲い込むことが可能だった、ということだ。

「文化の発信」とは富裕層の生活スタイルの大衆化

西武百貨店はこうした富裕層囲い込みに最も成功したと言われており、バブル期までに新富裕層を中心に業界最強の外商ビジネスを作り上げた。

その結果、高級ブランド品などのハイエンド商品、絵画などの美術品取引においても老舗を上回る実績を誇るようになり、その実績をさらに活用することで、「文化の発信」という顧客層の拡張へと進化させた。

セゾンはその購買力で、「文化」のパトロンとして圧倒的な存在となったため、「文化」側はパトロンを称賛し、セゾン文化への評価は盤石となった。

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【大衆は百貨店から離脱した】

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