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かつてメディアを賑わせた「アグネス論争」から40年…上野千鶴子が辿りついた意外な《フェミニズムの現在地》

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男性の「男女平等」に対する考え方には誤解があったという(写真:Graphs/PIXTA)
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アグネス 私の東大卒業生の研究では、最も平等な家庭というのは、夫婦の収入が近い家庭です。私はもちろん働ける人が偉いとは思っていません。でも残念ながら、経済力がものを言う場合が多いです。

カネがものを言うなら、女は永久に弱者のまま

上野 そのように言ってしまうと、稼ぐ力がないと夫婦も対等になれないということになってしまいます。現実には、男女に賃金格差がある限り、妻は夫と対等になれない。

夫の中には「オレと同じだけ稼いでからものを言え」という人もいるそうですね。「アンタがワタシより稼げるのはアンタの能力のせいではなく、性差別のおかげでアンタが下駄をはかせてもらっているからだ」と言い返せばいいのだけれど。

カネがものを言うなら、女は永久に弱者のままじゃない?

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アグネス だから共産主義とか社会主義が台頭するんですよ。

上野 ニューヨークでは社会主義者の市長が当選したそうですが、残念ながら社会主義のもとでも女性差別はなくなっていません。カネにどんどん呑み込まれていったのが、ネオリベラル・フェミニズムです。

アグネス どういうことですか?

上野 市場競争に勝った人が偉いという考え方です。女にも同じように競争に勝ち抜くチャンスを与えろという主張です。

アグネス 女性がそう望めば、経済的に豊かになるチャンスは平等にあってほしいです。たとえば同じ仕事をしたら同じ給料をもらいたいです。

上野 それは公正を求めることであって、儲ける人が偉いという価値観とは違います。

アグネス 人生で一番大きなものはお金で買えないと息子達に言っています。フェアネスと権利と平等のチャンスは平行線ではないと考えます。

上野 市場経済の原理を家庭に持ち込むなと言いたいけれど、現実にはカネがものを言う世の中ですね。

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