高市政権と国民民主党は、2026年度予算審議をめぐる対応をきっかけに関係がこじれていた。しかし、自民党の鈴木俊一幹事長は国民民主党を念頭に置いた「連立の枠組み拡大」に改めて意欲を示しており、今回の改憲論議をきっかけに自民党が国民民主党との関係修復を狙う可能性もある。
歴代首相では、高市首相が「政界の師」と慕う安倍晋三氏(故人)が、在任中の17年に「20年の改正憲法施行」を目指す意向を表明。その際、「憲法9条に自衛隊を明記する」との案も提起した。当時は衆参両院で改憲勢力が3分の2を占めていたが、野党の反発もあって論議は迷走。結果的に国会発議は実現しなかった。
これに対し、現在は衆院で自民党が単独で3分の2超の議席を確保しているものの、参院は少数与党だ。来年の定期党大会まで1年足らずとされる中での「発議にメド」という高市首相の目標設定は「あまりにも急ぎすぎ」(党執行部)との見方が支配的だ。
衆参憲法審での論議も本格化
発議実現へのカギを握る参院では、15日に憲法審査会が開かれ、各党がそれぞれの立場を踏まえて意見を表明する。その中で、自民党が主張する「自衛隊明記」に加え、衆院が解散された後に内閣が求めることができる参院の緊急集会の位置づけや、参院の選挙区で導入されている「合区」の解消などについても、協議の対象となる見通しだ。
自民党は当面、改憲勢力が3分の2に達していない参院での野党との合意形成を目指す構えだ。石井準一参院幹事長は「衆院以上の議論を積み重ねたい」と強調する。これと並行して参院自民の有志議員は、来週にも新たな議員連盟を発足させ、石井氏ら参院執行部を後押しする方針だ。
また、国民民主党の玉木雄一郎代表も「そろそろ精度の高い議論に落とし込むべきだ」と述べるなど、自民党との共闘に意欲をにじませている。
こうした改憲実現の動きに対し、毎週のように首相官邸前に多数の群衆が集結。「憲法改正反対」「高市辞めろ」などのプラカードを掲げて気勢を上げている。この動きについて、なぜかこれまでは大手新聞やテレビ局は1行も1秒も取り上げず無視してきたのが実態だった。
しかし、今回の高市発言を受け、一部の民放テレビ情報番組がデモの映像で発信し始めている。今後、安倍政権時の「安保法制反対デモ」を彷彿とさせる官邸・国会周辺での“群衆蜂起”が国会内での改憲論議にどのような影響を与えるのかも、関係者の注目の的となりつつある。
