東洋経済オンラインとは
ライフ

「単なるけがと思っていた」モルモットの死 「本当の死因を知りたい」と願った飼い主に告げられた"意外な真実"

7分で読める
餌を食べるモルモット
温和な性格で人気のモルモット。長生きしてもらうためにも健康チェックは欠かせません(写真:e03586/PIXTA)
  • 中村 進一 獣医師、獣医病理学専門家
  • 大谷 智通 サイエンスライター、書籍編集者
2/5 PAGES

このとき家ではすでに猫を飼っていたため(これも姉が拾ってきました)、モルモットは猫が入れないようにしたぼくの部屋で飼うことになりました。

突然モルモットを5頭も連れ帰り、それを弟に押しつけるという、なんとも無責任な姉ですが、ぼくとしてもかわいらしいモルモットたちを自室で飼うことは大歓迎でした。

1週間で4頭が死亡

「病気」と付言されたうえで売られていたモルモットの親子は、たしかに皆一様に具合が悪そうでした。下痢をしており、ひどくやせていたのです。

すぐに近所の動物病院に連れていったのですが、原因はわからず「しばらく様子を見ましょう」と言われただけ。そうこうするうちに、5頭のうち子ども4頭が立て続けに死んでしまいました。うちに来てから、わずか1週間ほどのことです。

今にして思えば、全頭が何らかの消化管感染症にかかっていたのでしょう。しかし、高校生だったぼくには、子どもたちが全滅した理由は皆目見当がつきませんでした。

動物の病気についての知識もなく、調べ物をしようにも身近に専門書はなく、インターネットもまだろくに普及していない時代でした。

そもそも、当時はモルモットをきちんと診察できる獣医師はほとんどおらず、モルモットの病気や治療のこともほぼ情報がありませんでした。

また、モルモットやハムスターのような小型の草食動物に安易に抗菌薬を投与すると、腸内で食物繊維(セルロース)の分解を助けている微生物まで殺してしまうため、かえって健康を損なうこともあります。

たとえ原因が特定できていたとしても、投薬などによる積極的な治療は難しかったでしょう。

いずれにしても、5頭のうち実に4頭が、うちに来て間もなく死んでしまったのです。小さなモルモットたちが次々と冷たくなっていくのに、自分はそれをただ見ていることしかできない――そのときの大きな無力感が、ぼくが獣医師を目指す動機の1つになりました。

次ページが続きます:
【乳腺のあたりにしこり】

3/5 PAGES
4/5 PAGES
5/5 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象