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『相席食堂』女性出演者への不適切シーン放送の波紋 千鳥の卓越ツッコミでも"浄化"できなかった番組側の「死角」

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(画像:『相席食堂』公式サイトより)
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千鳥という存在についても、ここで正確に評価しておかなければならない。数多くの人気番組に出演していることからもわかる通り、千鳥の2人は今のバラエティ界においてトップクラスの技術を備えている逸材である。彼らは、どんなことに対しても自分なりの角度で面白さを見出して、それを視聴者にわかりやすい形で提供することができる。

しかも、ただ何でもかんでも笑いに変えているわけではなく、今の時代に合ったバランス感覚も備えている。彼らがVTRを見るような番組では、出演するタレントや取材先の一般人に対して厳しいツッコミをいれる場面もあるが、決して言い過ぎることはない。笑いに着地する範囲で言葉を選んでいるし、必要に応じてフォローもいれている。この繊細な押し引きの感覚があるからこそ、彼らはあれだけの人気を得ているのだ。

千鳥はセクハラ的行為を許容しなかった

問題になった今回の場面でも、彼らは決してセクハラ的な行為を許容しているわけではない。VTRを止めてツッコミをいれているが、女性の体を触ったと思われる男性に対しては、笑いにしながらもはっきりと厳しい言葉を投げかけている。

男性側に肯定的なことは一切言っていない。彼らは「見せられたVTRを面白くすること」に専念しながらも、セクハラ的な行為は決して許さないという一線を引いている。

ただ、そうは言っても、一連のシーンを見れば、彼らがツッコミの体裁を取りながら、問題行為を実質的に容認する機能を果たしてしまっているように見えるのは事実だ。問題を認識しているような素振りをしながらも、結局はそれを笑いの文脈に回収してしまっている。

もちろんここで千鳥の2人を責めるのはお門違いである。彼らは番組を面白くするために雇われている存在であり、与えられた役目を果たしただけだ。問題のある行為をそのまま放送してしまったのは、番組側に責任がある。

今回の問題の本質は、何でも笑いに変えられる千鳥という強力な武器を持っていた番組スタッフが、そこに頼りすぎたことで倫理的な問題を見過ごしてしまったことにある。そこに現れていたのは、千鳥の技術の限界ではなく、その技術があれば危ういものでも処理できると考えてしまった番組側の認識の甘さなのだ。

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