就職活動も、主体的に始めたわけではなかった。早稲田大学に進んだ友人に呼び出され、新宿区・高田馬場の居酒屋で向かい合った。
「お前、就職どうすんねん」
そう聞かれ、「不動産とかちゃうかな」と答えた。
「世の中の流れで、みんながええ言うやつに、そのまんま乗っかってるだけちゃうか。浅はかや」
一蹴された。それまで、自分の将来を真剣に考えていなかったことに気づかされる。そこから、就職面接を手当たり次第に受けていった。
そんな折、大学の教授に呼び出された。以前、送別会で司会を務め、場を盛り上げたことがあった。その姿を見て、「西田、良かったなあ」と声をかけてくれた教授だった。
会うなり言われた。「お前、どない考えてんねん」。
就職のことだった。
「お前みたいなええ加減が、“実”のある仕事ができるわけない。お前は“虚業”の人間や。東京の放送局を受けてみい。いきいき働ける。お前にぴったりや」
ここでの“虚業”という言葉は、人に笑いをもたらすような仕事と、そのあいだに立つ人を指す。だが、当時のテレビ局は激務だった。土日も休みがないほど働く。
「僕は嫌です」
紹介の話もあったが、その場では断った。それでも、「お前にぴったりや」という言葉だけが、頭の片隅に残った。
正しさを証明するために受けた読売テレビの面接
しばらくして、夜中に別の友人から電話がかかってきた。大学の仲間だった。読売テレビの入社面接を翌日に控え、模擬面接の練習をしてほしいと頼まれる。
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【面白い素人さんが出る番組を作れば、チャンネルの個性にもなる】
