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「中国より止められないモンスターがいる」小泉悠×辻愛沙子対談(前編)日本の安全保障の現実について激論

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小泉悠氏と辻愛沙子氏
世代の異なる小泉悠氏と辻愛沙子氏が「安全保障」について本音で語り合った(撮影:今井康一)
  • 小泉 悠 東京大学先端科学技術研究センター 准教授
  • 辻 愛沙子 arca代表取締役/クリエイティブディレクター
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小泉:際限のない軍拡をすれば国が破滅に向かうのはその通りです。ただ、逆に問いたいのは「では、どこまでなら減らしてもいいと考えますか?」ということです。現在、自衛隊には約24万人の隊員がいますが、これを思い切って10分の1に減らした場合、日本は本当に大丈夫でしょうか。あるいは自衛隊をゼロにした場合はどうでしょう。

大丈夫だと思うなら軍拡は不要かもしれませんが、さすがに削りすぎだと思うなら、「じゃあ何万人ならいいのか」という具体的な数値の話にできます。

政府の言うことが信用できないからといってその数値目標まで無視してしまうと、まるでカップルの別れ話のように、測定できない感情の応酬になってしまいます。増やすにせよ削るにせよ、測定可能な尺度で話した方が建設的です。

日・米・中…現状の防衛力について

:確かに、数字をベースにしないと感情論のぶつかり合いになってしまいますね。現状の防衛力についてはどう見ていますか? 既に世界7位の防衛力・軍事力(軍事力評価機関GFPの最新指標による)と考えると、もう十分抑止に近い巨大な予算投下のように思えるのですが……実際はどうなんでしょうか。

小泉:現状について言えば、日米同盟がしっかり機能していれば、中国に変な気を起こさせないだけの防衛力は日本に現在あると僕は見ています。ものすごい規模の軍拡をしなくても、弾薬の不足を補うとか、ミサイルに対してむき出しになっている基地の防御力を高めるとか、今ある防衛力の中身を実効的なものにしていけばいい。

ただ、中国の軍事力は想像以上のペースで上がっており、一方でアメリカのアジアへの関与は、特に第2期トランプ政権において不透明になっています。その隙間を埋める程度の増強は必要だと考えています。やみくもな軍拡ではなく、専門家たちはかなり明確なターゲットに基づいて議論しています。これは別に「無謀な軍拡」ではないと思っています。

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【中国よりも怖い「モンスター」とは?】

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