2020年の教育指導要領の改訂で、小学校では探究学習とグループワークが中心となり、結果、基礎的な知識や技能の習得に時間が割けなくなった。宿題が減って、反復学習の時間も減った。
学力低下の調査結果に対して、阿部俊子前文部科学省大臣が「社会経済的背景の低い層の方がスコアの低下が大きいことを重く受け入れている」とコメントしたが、これは経済的な問題で塾に通っていない子どもたちを指すことは明らかだ。塾に通っていない生徒と通っている生徒で大きく差が出る。
小学校の宿題が減っているとはいえ、取材をしていると、漢字や計算のドリルはある程度出ることがわかる。東京でも中学受験率が高くない地域だと、「桁が大きい数字の計算問題が宿題で出ると30分では終わらない。結構頑張って解いている」という話も聞く。
一方で、英語の単語のスペルを書いて覚える宿題はあまり見かけない。そうなると、塾や通信講座で英語を学んでいる子との差が出る。
小6で英検2級を取る意味はあるか
今、首都圏では中学受験の過熱が続く。その中で教育熱心な家庭が高校受験を選択するケースも増えている。難関高校入試は英語で差がつくため、小学校から英語の学習に力を入れる。新小学5年生の母親はいう。
「ある大手塾の高校受験対策の小学生コースの説明会に行ったら、小学6年で英検2級取得を目指すと言われました。うちの子は英検なんて受けたこともないので驚きました」
このように一部の教育熱心な層の間では、早期からの英語教育が過熱している。これらの層は小学生のうちから英単語を反復で学習し、身に付けている。そういった層とそうではない層の差が開いているのだ。
ある母親は子どもが中学受験を終えて、私立中学に入って中学1年ではじめて英検を受験した時に衝撃を受けたという。
「中学1年なのに英検2級を受験する生徒がクラスに何人もいたことです。うちの子はその時、英検5級を受けましたよ。中学受験の勉強と並行して英語を勉強して英検3級を取得している子たちがそれなりの数いることに驚きました」
ただ、この母親の子どもは中学受験を通して、国語力を高め、机に向かって勉強をする習慣も身に付けてきたから、中学入学後に英語学習もこなしていける可能性は高い。
しかし、国語もままならず、ほかの科目でも反復学習をする習慣がまったく付いていない生徒が中学から英語の読み書きを学ぶとなっても難しいのだ。杉本さんは言う。
「小学生の頃は早期英語教育よりも、まずは国語での読み書きや学習習慣を身に付けることが大切だと考えています。それが中学以降の英語の学習にまずは必要なことです」



