これが悪循環の入り口だ。SNSを見ていると、現役の公立中学校の英語教師と名乗る人たちが「小学校では英語を教えないでほしい、中学で一から教えたい」と嘆いている。
それは小学校で「楽しい英語体験」を先に積んでしまうと、中学以降の文法や語彙の反復を求める学びが余計に苦痛に感じられるということもあろう。
国語力がないと、英語力は上がらない
「小学校で英語を教えるのはやめてほしい」と中学英語の先生たちが嘆くわけだが、小学校の英語教育が中学の英語へつながっていくようにすれば解決ができる。
「小学校から文法の基礎を教えることができたらいいのではないかと思います。例えば、名詞・動詞・助動詞といった品詞の概念を、イラストなどで見せて工夫を凝らしながらわかりやすく教えていければいいのではないでしょうか。
理科では月食の仕組みを模型で教えたり、算数を具体物で示したりと、さまざまな指導の工夫が積み重ねられてきました。小学校英語はまだ歴史が浅いので、ほかの科目に比べて工夫が十分ではないようにも見えます」(杉本さん)
そして、英語力が下がっているより根本的な問題として、国語力の低下がある。
「物理の先生が『物理も最終的には国語力がないと解けない』」とおっしゃいますが、すべての教科の土台は国語力です」(杉本さん)
なぜなら授業を理解するにしろ、テキストを読むにしろ国語力は必要になる。「わからないな」と思った時に、「何がどうわからないのか」を言語化しないと、前に進めない。そこでも国語力が必要だ。
国語力がないとほかの科目も学べないと書いた。では数学に比べてどうして英語がここまで大きく学力が下がったのか。
「英語は反復学習が必要な科目ですが、小学校でそれが減っているからではないでしょうか」(杉本さん)
今、小学校全体で宿題が減っており、反復学習が減っている。これが学力低下につががっているが、この影響を1番受けるのが英語だ。
学力テストを見ても、国語の問題は知識を問わず、純粋に読解力ができるかを求めている。数学も基礎的な知識……例えば、三角形の内角の和は180度などの基礎的な知識や基本的な公式などがわかっていれば解ける問題だ。知識は最低限でも解ける。
ところが英語は何百もの単語を覚えていないと解けない。特にライティングの問題を解くためには、簡単な単語でもスペルを間違えずに書くためには反復学習が必要だろう。Vegetable(野菜)といった基礎的な単語も書いて練習しないとスペルは書けない。
要は、英語は単語を覚えることが重要なので、反復学習が必須となる。それを小学校でやっていないと、英語は歯が立たなくなる。
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【小6で英検2級を取る意味はあるか】
