一方、年々、材料費は高騰。人件費も上がり、いくらコストを下げる努力をしても限界が見えてきた。それでも公立学校向けの商品となれば「どんな家庭でも購入できるように」という配慮もあり、値上げすることは難しかった。
また、もともとカバンが丈夫で壊れないため、「お譲り」で使う生徒も多かった。少子化による製造数の減少も追い打ちをかけ、作れば作るほど赤字になる状況が続いていた。
「企業として、子どもの教育に貢献したいという強い思いは変わりません。でも、時代の波には勝てませんでした」(辻本氏)
結果、苦渋の思いで2024年、公立学校のカバン製造からは完全撤退することを決めた。
ゲリラ豪雨問題から“濡れないカバン”の相談
一方、同社は公立学校のカバンの製造販売と並行して、当時の社長自ら、関東地方の学校に飛び込み営業を行っていた。
2017年、そのうちの1校の小学校から問い合わせがあった。
当時、「ゲリラ豪雨」が話題になってきた頃だ。従来のランドセルではかぶせと本体の隙間から雨が入ってきて教材が濡れるため、中身が濡れにくいカバンを作れないかとの相談だった。
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【私立小のためのフルオーダー通学カバン】
