──なぜ「自然葬」をテーマに?
『土葬の村』では奈良県の山間部に残る土葬の風習を紹介し、大きな反響を得た。同時期、アイヌの土葬も取材を進めていたので、当初はそれを続編にと考えた。
企画の過程で、編集者から「土葬も含めつつ、テーマを『自然葬』に広げてはどうか」と助言をもらって沖縄の風葬を調べ始めた。
──日本国内に風葬が現存していたのですね。
これが衝撃だった。粟国島、与那国島では遺体を自然のまま安置し風化させる風葬が行われてきた。
与那国島には今も「ふちぎらい」と呼ばれる「洗骨」の風習が残っている。遺体を墓に安置し、3〜5年、長ければ10年以上かけて遺体を朽ちさせた後、泡盛で洗いながら骨を取り出すのだ。
遺体をそのまま安置すると聞くと、死体遺棄罪に問われないのか疑問に思うだろう。だが与那国島の人々はこれを「風葬」ではなく「土葬」と呼ぶ。遺体をひつぎに入れ、一族の墓の中に安置して入り口を完全に密閉するのだから「墓の中に納めた(埋葬した)」という理屈だ。法律との折り合いをつけながら、時間をかけて遺体を骨にするという独自の死生観を今も守っているのは興味深い。





















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