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「野垂れ死に」の思想に近い 自然葬から見える弔いの本質/『日本の自然葬』著者・高橋繁行氏に聞く

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『日本の自然葬 風葬・土葬から樹木葬・循環葬まで』の著者
高橋繁行(たかはし・しげゆき)/ルポライター。1954年生まれ。ルポライターとして葬式、笑い、科学、人物を主要テーマに取材・執筆。高橋葬祭研究所を主宰。『土葬の村』『葬祭の日本史』『死出の門松』『お葬式の言葉と風習──柳田國男『葬送習俗語彙』の絵解き事典』など死と弔い関連の著書多数(写真:高橋繁行さん提供)
最古の弔い「風葬」が、この国に今なお息づいていた──前著『土葬の村』で日本に現存する土葬の風習を描いた著者が、琉球諸島の風葬からアイヌの土葬、最新の循環葬まで、日本各地の多様な葬儀を取材。葬儀が簡略化・効率化されている中で、見つめ直すべき「弔いの本質」に迫る。

──なぜ「自然葬」をテーマに?

『日本の自然葬 風葬・土葬から樹木葬・循環葬まで』(高橋繁行 著/講談社現代新書/1210円/272ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

『土葬の村』では奈良県の山間部に残る土葬の風習を紹介し、大きな反響を得た。同時期、アイヌの土葬も取材を進めていたので、当初はそれを続編にと考えた。

企画の過程で、編集者から「土葬も含めつつ、テーマを『自然葬』に広げてはどうか」と助言をもらって沖縄の風葬を調べ始めた。

──日本国内に風葬が現存していたのですね。

これが衝撃だった。粟国島、与那国島では遺体を自然のまま安置し風化させる風葬が行われてきた。

与那国島には今も「ふちぎらい」と呼ばれる「洗骨」の風習が残っている。遺体を墓に安置し、3〜5年、長ければ10年以上かけて遺体を朽ちさせた後、泡盛で洗いながら骨を取り出すのだ。

遺体をそのまま安置すると聞くと、死体遺棄罪に問われないのか疑問に思うだろう。だが与那国島の人々はこれを「風葬」ではなく「土葬」と呼ぶ。遺体をひつぎに入れ、一族の墓の中に安置して入り口を完全に密閉するのだから「墓の中に納めた(埋葬した)」という理屈だ。法律との折り合いをつけながら、時間をかけて遺体を骨にするという独自の死生観を今も守っているのは興味深い。

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