世界分散の考え方は、その「続けられる投資」の土台となり、心の揺れに強く、長期で資産形成を進めるための最も合理的な防御策といえます。
AI時代における「個別銘柄選択」の難しさ
また、現代の市場環境がAIによって大きく変化していることを頭に入れておくことも重要です。
現代の市場環境は、投資対象の構造だけでなく、市場情報の処理速度によっても大きく変化しています。なぜなら、AIの急速な進化により、企業の決算やニュースが出ると膨大な情報が瞬時に分析され、株価に反映されるようになったからです。
これは効率的市場仮説が、さらに現実味を帯びていることを意味します。
効率的市場仮説では、株価は公開されている情報をほぼすべて反映しており、個人や運用会社が長期的に市場平均を上回るのは難しいとされます。
AIの進化によって情報処理が極めて高速化した結果、銘柄選択で有利になる余地はさらに小さくなったのです。
たとえば、企業の財務情報が公開されると、かつてはアナリストが読み込み、数日かけて売買を行うという流れが一般的でした。しかし今では、AIが決算書の数百ページを瞬時に読み解き、将来の収益性を機械的に評価し、アルゴリズムが瞬時に売買を実行します。
つまり「よい決算だから上がりそうだ」と個人が判断して売買ボタンを押す頃には、すでに市場はその情報をほぼ織り込み済みなのです。
こうした現実があるからこそ、個人投資家が長期投資で成果を得るためには、値上がりする企業を見抜く力を磨くよりも、世界全体の成長に乗り続ける仕組みを淡々と維持することがより確実な戦略になってきています。
市場全体に投資することの合理性が、AI時代に入ったことでいっそう強まっているのはそのためです。世界分散+市場連動型のインデックスファンド投資がより成果を期待できる時代になっているのです。

