この主役交代劇を、かつて「ジャパン・アズ・ナンバーワン」を謳歌した我々はどう受け止めるべきか。今のインドを知ることは、失われた30年を過ごした我々にとって、忘れかけていた経済成長の熱狂を思い出す作業でもある。
日本の「ゴンドラ婚」が霞む豪華絢爛950億円結婚式
バブル期の日本といえば、スモークを焚きながら派手なゴンドラで新郎新婦が登場する「派手婚」が話題になったが、インドの富豪が展開する「豪華絢爛婚」は、文字通り桁が違う。
「アジア一のお金持ち」とも言われるインド最大財閥リライアンス・インダストリーズの会長、ムケシュ・アンバニ氏の次男アナント氏の結婚式(2024年開催)は、世界中の度肝を抜いた。
「結婚式に950億?」と耳を疑うだろう。だが、中身を聞けばさらに驚く。
この結婚祝賀行事は7か月にもわたって開催され、婚前パーティーにはリアーナやケイティ・ペリー、ジャスティン・ビーバーがプライベートライブに招かれた。ジャスティンのギャラは約16億円だったと報じられている。世界中から集まるゲストのためにプライベートジェットが何十機も用意され、提供された料理は数千種類。ビル・ゲイツやマーク・ザッカーバーグなどの世界的な著名人も駆けつけるなど、桁違いの豪華さだ。
かつて、西武グループの全盛期や、金丸信氏のような政界の大物の豪華な宴席に驚いたバブル世代でも、これには絶句するしかない。Antiliaと呼ばれる27階建てのアンバニ家に限らず、都市部には、延べ床面積5000平方メートル以上という、もはや「家」ではなく「宮殿(Palatial Bungalow)」と呼ぶべき邸宅に住む超富裕層も存在している。
今のインドの熱狂を支えているのは、単なる「金余り」ではない。国全体に満ちている「もっと働こう」という猛烈なエネルギーだ。
バブル世代が若かりし頃、街には「リゲイン」のCMが流れ、「24時間戦えますか?」というフレーズを皆が口にしていた。あのモーレツ社員たちが称賛された感覚が、今、インドで再燃している。
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【「24時間戦えますか?」の再来と週70時間労働】
