3月21日公開の記事で、上月豊久氏(前駐ロ大使)の、プーチン大統領のロシア・ウクライナ戦争についての見方を紹介した。〈ウクライナの問題を実質的に「ロシアの国内問題」と考えている〉(上月豊久『プーチンの歴史認識 隠された意図を読み解く』新潮選書、2026年、24ページ)である。
プーチン氏はロシア革命後の赤軍と白軍の内戦に独自の解釈を加えている。通常、赤軍はボリシェビキ(共産主義者)、白軍は王党派(資本主義者)という二分法で解釈される。これをプーチン氏は、赤軍をロシア人の力だけで新たなロシア国家を建設しようとする勢力、白軍を外国を導いてロシアを従属国にすることで生き残りを図る勢力と区分する。内戦では赤軍が勝利し1922年にソ連国家が建設されるが、ソ連はロシア人の力によって刷新されたロシア帝国なのである。
2つのロシア人概念
注意する必要があるのは、ここでいうロシア人が民族的な意味ではないということだ。ロシア語では、「ルスキー」と「ロシヤーニン」という2つのロシア人概念がある。ルスキーは金髪で碧眼、白い肌で、ロシア語を話し正教を信じているというような、生物学的要素と文化的要素の混淆したロシア人概念だ。対してロシヤーニンは、皮膚の色や宗教、話す言語は関係なく、ロシアという国家に忠誠を誓う人々という政治的概念だ。





















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