「大学1年生で入った時には、厳しくされて強くなるということに不満感はまったくありませんでした。勉強のかたわら、少林寺拳法部に入っていて、全国大会ランカーでした。真面目な生徒だったと思います。
ですが、大学2年生になってすぐに、1カ月間手漕ぎボートの『カッター』を漕ぐ『カッター期間』でメンタルダウンしました。この行事は自衛隊でやっていくための登竜門で、この行事がきっかけで自衛隊を辞める人もよく出ます。ここで自分は厳しい仕打ちを受けて、思っていた以上に自衛隊に向かない人間であることに初めて気づいたんです」
防大で仮面浪人は“ほぼ不可能”
カッター期間を終えてから、余裕ができた大前さんは、自分の人生を考え、仮面浪人を考え始めます。仮面浪人を決断した理由を聞いたところ、「周囲の灘出身で東大に行った学生の様子をSNSで見たり、実際に遊びに行ったりすることで、東大もいいなと思ったから」と答えてくれました。
「私の代は浪人している人が多かったんです。東大に入ったのに仮面浪人して医学部を目指したり、東大文1や京大医学部に行ったりする人がいて、2年生の夏から東大で自分もやり直したいと思い始めました。その年、たまたま東大の2次試験が土日であり、受験することが可能だったことも決断する要因となりました」
しかし、普通の仮面浪人生と違う、防衛大学生の立場での浪人はなかなか難しかったようです。
「大前提、防大は基本的に仮面浪人が禁止……というかほとんど不可能に近いんです。仮面浪人が噂にはなるけど、私の知る限り実行した人間は0人です。訓練があるから勉強時間も確保できませんし、上司に報告されたりしたらキャリアにも傷がつく可能性があります。
また、普通の大学生は仮面浪人をするとなったら授業に行かない選択肢がありますが、防大は授業に絶対に行かなければなりません。共同生活だから、孤独な戦いができないんです」



















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