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3月退任のANA・井上社長に聞くコロナからの復活とこれからの課題。好調な国際線と苦戦が続く国内線、伸ばす貨物の行方

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ANAの飛行機
社長交代するANAはさらなる成長へどのような課題を抱えているのか(撮影:梅谷秀司)

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ANA(全日本空輸)がコロナ禍での業績悪化から急速な回復を遂げている。事業拡大が順調で、イラン情勢など不安定な事業環境でも親会社のANAホールディングスは2026年3月期も過去最高水準の業績を確保しそうだ。26年3月期からは5年間の新たな中期経営計画をスタートさせる。22年からANAの社長をつとめ、3月に退任する井上慎一社長にこれまでの成果と今後の課題を聞いた。

危機にはベンチャー精神で対応を

ーー3月末で社長を退任してANAホールディングスの特別顧問になります。一方、イラン情勢など不安定な状況が続きます。

イベントリスクはこれからも頻発すると考えている。実際に危機はウクライナやガザの問題からつながっているし、これからも続く可能性があるのではないかとみんな思っているし、われわれも適宜備えをしている。

編集注:井上社長は具体的な対応については言及しなかったが、ANAHDは「ANAはイランを含む中東地域への運航は無く、現時点で欧州便の運航に影響はありません。燃油高騰に対してもヘッジやサーチャージ等で対応しております。引き続き情勢を注視し、柔軟かつ適切に対応してまいります」とした。

直近の危機だったコロナ禍でわかったのはベンチャーのDNAだ。20年にピーチの社長からANAに帰ってきたとき、ちょうどパンデミックが進行していて、お客様がいなくなってしまった。そのとき、営業本部長だったが営業では売るものがないので暇だから何かアイデアを出せと社内に号令をかけた。

そうすると、客室乗務員や整備士からも次々と意見が寄せられた。このときは正直びっくりした。あの時期は経営的にも厳しくてやむなくANAを去っていった社員もいたけれども、あの時期にできた横連携はまさにベンチャー的なDNAで、これこそがANAの強みだと感じた。

大事なことは「やりくり」することだ。コロナ禍では成田発成田着の遊覧飛行を飛ばし、成功することができた。ほかにもアメリカのモハヴェ砂漠にある「飛行機の墓場」へいくツアーなども人気だ。アイデアがどれくらい来たかというと、5年間で3500件、そのうち実現したのは三十数件だが、売り上げは10億円、粗利益率は3割になった。

ふざけたアイデアだったとしても、「おもしろい」が「儲かる」ということだ。成功すると組織は保守化する。それでも創業時のベンチャースピリッツを大事にして、とんがり続けてほしい。

ーー4月からは新しい中期経営計画が始まります。どのような問題意識で作成したのでしょうか。

23年度に始まった前回の中計ではコロナ禍で負った傷を癒やすという目的があった。コロナ禍では借金をたくさんした。その対応として財務健全化を図り、社員に対しても給料カットや外部出向をお願いして無理を強いた。もう一度社員の心をポジティブに変えていく期間という位置づけだった。

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