日本の「備蓄」は本当に足りているのか?ホルムズ海峡の危機で問われるリスク対応

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⑤希少金属備蓄……最近になって注目されてきたのが「レアメタル(希少金属)」の備蓄だ。EV生産や防衛産業、半導体生産などハイテク産業に不可欠な原材料で、コバルト、ニッケル、リチウムなど34種類のレアメタルの供給が止まった時に備えて民間と国家で合計60日分が備蓄されている。国家が42日分を備蓄、さらに自主備蓄を支援する形で民間にも18日分の備蓄を求めている。

こうしたレアメタル備蓄に対しては、約937億円のコストがかかっていると報道されており、とりあえず2026年1月には当初予算として390億円が閣議決定されている。26年に入ってからは、水深6000メートルの南鳥島沖で試掘されるなど、備蓄だけでなく、自前で確保する方針に向かいつつある。

民間企業も災害時対策に備蓄

これまで「備蓄」と言えば、政府や地方自治体の仕事という役割分担ができていたが、最近は民間企業での備蓄も進んでいる。東京商工会議所が2025年5月に会員向けに実施した調査によると、BCP(事業継続計画)を策定している企業は全体で39.5%、大企業で63.0%、中小企業で28.0%だった。また、「備えが必要だと感じるリスク」として最も回答が多かったのは地震で、BCP策定企業、BCP・防災計画未策定企業ともに95%を超えた。

具体的には、三菱地所は丸の内エリアで千代田区との帰宅困難者等一時受入施設協定を結び、複数棟で帰宅困難者受け入れ体制を整えている。セブン&アイ・グループも、自治体との「災害時の物資支援協定」や「帰宅困難者支援協定」の締結を進め、災害時には自治体からの要請に基づき支援物資を提供する体制を整えている。さらに森ビルでは、全体で約27万食分の食料や水を備蓄し、主要複合施設全体で約1万人の帰宅困難者受け入れが可能だとしている。

ちなみに、最近はデータセンター事業者やITインフラ事業者などが、蓄積されたデータを守るため、非常用発電機の燃料やバッテリーを確保する動きを強めている。東日本大震災後には、非常用発電機の燃料調達が大きな課題として認識され、業界団体も燃料確保体制の見直しを進めた。実際、72時間無給油での連続運転をうたうデータセンターもある。

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