今の家を「終の住処」と決めつけなくてもいい
引っ越しを繰り返すなかで学んだのは、今の家を「終の住処」と決めつけなくてもいい、ということ。ライフステージや体調に合わせて、住む家や場所を柔軟に選べばいいのです。そうすれば、よく語られる「定年後は田舎でゆっくり」という選択も夢ではありません。
セカンドライフで田舎暮らしに憧れる人は多いのではないでしょうか。自然に囲まれた生活は魅力的ですし、ゆったりとした暮らしと、豊かな時間を与えてくれることでしょう。私たち夫婦も夫の定年後は田舎暮らしを予定していて、日本全国のクラインガルテン(別荘付き貸農園)の資料を取り寄せていたところでした。
残念ながら夫にがんが見つかり、田舎暮らしの夢は叶いませんでしたが、当時は「まずは1年間クラインガルテンに通って、田舎暮らしが楽しめそうなら、5年を目処に移住してみよう」と話し合っていました。ここで「移住先をここで一生暮らす場所」と決めてしまうと、途端にハードルが上がるからです。
年をとると、近隣にスーパーや病院がない土地では、免許の返納後のライフラインの確保などが難しく、頼れる家族などもいなければ、行き詰まる可能性が高い。「免許を返納するまで」「体が元気なうちは」「大きな病気をしたら都市部に移る」というように、最初から線引きをしておく。
そうすれば、その先にかかるお金や住まいについても、あらかじめ見通しを立てられます。ちょこちょこ目にする「移住先で古民家のリフォームに退職金を注ぎ込んでしまい、引っ越したいのに身動きがとれない」というような記事を反面教師に、終わり方も考えておくことで、むしろ安心して始められる。そんな側面もあるのだと思います。
都会での暮らしにも同じことが言えます。家賃が高すぎること。家が広すぎること。本当は引っ越したいのに、引っ越し費用が出せずに動けないこと。こうした状態は、少しずつ暮らしの自由を奪っていきます。
モノも同じです。所有物が少なければ、引っ越しはぐっと身軽になります。「動こう」と思ったときにすぐ動ける。その自由さは、何よりの安心につながります。
25m²の暮らしは、他の人に決しておすすめできるものではありませんが、それでもこの限られた空間で暮らしてきたからこそ、見えてきたものがあります。
持ちすぎないこと。縛られすぎないこと。必要なときに動けること。今の家に執着しすぎず、そのときどきのライフスタイルに合った場所で暮らしていく。そんな軽やかさこそが、これからのセカンドライフを支えてくれるのではないかと、いまは思っています。

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